『 クラゲ 』

ガラスには無数のクラゲ 海だった氷雨の中を電車が走る


すべての雨はむかし海だったのですね。ガラスに付いた水滴をクラゲに見立て、主体の乗った電車をまるごと海の中まで引き込んでいくような描写が大胆です。
七緒さん

実景は「雨の中を走っている電車」なのですが、まるで海の中を走っているような幻想的な風景が広がります。クラゲの使い方が独創的で面白いですね。
俳句では夏の季語であるクラゲと、冬の季語である氷雨が混在しているのがもどかしいところですが、冬にクラゲのお題が出てしまったことの妙ですね。
倉橋千帆さん

氷雨、元々は夏の季語だったようですね。わたしも前に評されているいる方と同じく冬のお歌だと取りましたが、どちらの景でも美しく感じました。とても好きな一首です。
クラゲは最初、窓についた水滴のことだと思ったのですが、乗客自体をクラゲとして読んでみてもいいな、と感じました。海だった氷雨を潜るように進む電車が素敵です。

小泉夜雨さん

窓ガラスに映った乗客たちのぼんやりした表情とクラゲを重ねて読みました。うつくしさのなかに寂寥感もあり、電車が雨を従えて走る情景にも惹かれました。
倖さん

車窓に打ちつけられる雨粒をクラゲに見立てていて、美しいお歌だと思いました。一字あけの後の第三句から、時間をはるか遡った様子が伝わってきました。
岡桃代さん

ガラスに無数の水滴を纏って走る電車の実景と、電車内部から水滴を見つめている主体がかつて海だったすべての水の記憶を幻視しているかのような様子とが多重世界のように重なって見えます。とてもとても永い時間を内包しつつ刹那的な、視覚も時間感覚も多層的な歌で好きです。
黒井真砂さん

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