37代目総選挙 開催:2018年01月29日~03日

 

サーバの悲劇を越えてゆく人の巻

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歌題『 クラゲ 』

花嫁の父の役目をやり遂げてタオルクラゲとたわむれている

第37代うたの人

首席 93pt 桃×12 黄×14 緑×8 Bonus

抹茶金魚度会寿々多実果のぅてんき御殿山みなみ知己凛大西ひとみ芍薬可奈美静ジャック鶴田よめしちみとうえだまめヱイ甘酢あんかけ宮嶋いつく小泉夜雨ひの夕雅中牧正太苔井 茅金子りさ街田青々amico木蓮薄荷。ただよう月丘ナイル西村湯呑衣未(みみ)桔梗


この役目をやり遂げた後の感慨として、タオルクラゲのつかめるようでつかめきれない感触がとてもふさわしいように感じました。娘を送り出してなんだかさみしいお父さんの光景が、ほのぼのとした読後感になるところも素敵でした。抹茶金魚さん

花嫁の父になる年齢の男性がそんなことをするのはなんだか笑えてしまうのですが、お父さんのさみしさみたいなものが伝わってきます。娘さんが小さい頃に一緒にお風呂に入ったときにはやってみせていたのかもしれませんね。寿々多実果さん

ホッとしたことと、やり遂げた後の空虚感、嬉しいことだけど淋しくなる気持ちをうまく「タオルクラゲ」で表現していると思いました。
ほのぼのとした可笑しさがあって楽しいです。
のぅてんきさん

花嫁=娘が幼い頃に一緒に遊んでいたタオルクラゲなのでしょう。大役を終えた安堵感と、楽しかった思い出を思い浮かべる哀愁感。心情がとてもよく表されているなと思います。知己凛さん

「タオルクラゲ」というパワーワードにどんと惹きつけられます。子供が風呂で遊ぶ表現として使うのではなく、大人、しかも娘を送り出した後の父親がひとりで湯にいる光景での登場は寂しさと幸せにあふれています。娘さんも同じ夜に幼少期を思い出してタオルクラゲを膨らませていたりするのかなーと想像が広がるお歌でした。芍薬さん

タオルクラゲ、耳慣れないけど誰にでも恐らく通じる言葉。とても惹かれました。花嫁の父は戯れたあと、ぐしゃっと握りしめたのではないかな。切なくて可笑しさもある花嫁の父が胸に響きました。えだまめさん

場面とストーリーが浮かんでくる一首です。花嫁の父という役は、結婚式の大役のみならず、父親の務めの締めくくりと言える時。その後にひとり浴びる風呂での一コマに、ほのぼのした雰囲気と、思い出がよみがえるようで、ふとさびしい微笑が浮かぶような。小津映画のラストシーンのような印象です。宮嶋いつくさん

昔はお嫁にいった娘さんと一緒にタオルクラゲをしていたのかもしれませんね。どこかさみしくも、ほのぼのとした感じがよいと思います。
桔梗さん

情景と心情が伝わってきます。
同じ経験は過去にもこれからもないのに、まるで自分の事のような切なさを感じました。苔井 茅さん

ほっこりとしました。衣未(みみ)さん

一枚のガラスを隔て我は我クラゲはクラゲの今を生きをり

2席 91pt 桃×10 黄×18 緑×11 Bonus

諏訪灯夏山栞抹茶金魚度会寿々多実果のぅてんき黒井真砂御殿山みなみ大西ひとみしま・しましま可奈美井筒ふみ静ジャック橙田千尋七緒鶴田よめしちみとうえだまめ甘酢あんかけ宮嶋いつくきつね小泉夜雨ふるさとの春萩野聡倉橋千帆ひの夕雅あひるだんさー苔井 茅木蓮ただよう月丘ナイル西村湯呑夢見鳥宮本背水カズト桔梗


ひとりで水族館にやってきた女性の主体を想像しました。何か悩みを抱えているのかもしれません。けれど、「漂っているだけに見えるくらげにはくらげの生き方がある」「私は私で生きていけばいい」とふと思う。そんな前向きな歌として読みました。逆にほの暗い歌として読める気もしますが、私は前向きな解釈のほうで(笑)
「我は我クラゲはクラゲ」の日本語のリズムも心地よいです。夏山栞さん

ガラスを隔てて見つめているクラゲを主体は同じ命を持つもの同士と感じているのだと思います。命ある限り生きていく、という点ではヒトもクラゲも同じ。ふわふわと漂うクラゲから主体はポジティブな何かを受け取ったように読みました。諏訪灯さん

たった「一枚のガラスを隔て」ただけの「我」と「クラゲ」。形も生態も全てが真逆とも思われるほど違うのに、今、同じ時を生きている。何だか不思議な感覚が伝わってきます。
「我は我クラゲはクラゲ」のリフレインが効いていていいなと思いました。大西ひとみさん

たった一枚のガラスを隔てているだけなのに、全く違う時間が流れている不思議。それぞれに不自由さはあるけるど、そこで生きなければならないという主体の意思のようなものを感じました。可奈美さん

「一枚のガラスを隔て」で、水族館などにいるクラゲの全形が見える感じがいいなって思いました。しま・しましまさん

読んですぐ、この主体と同じような光景にたった感覚になりとても納得させられました。言葉の繰り返しのリズムも心地良くて、繰り返すことで主体とクラゲ生き方もそれぞれであると強く伝わってきているような気がしました。しちみとうさん

ただ生きているのではなくて「今を」生きているというのがいいですね、きつねさん

主体はおそらく水族館でクラゲを見ているのでしょう。人間とクラゲは全く違う種類の生き物で、おそらく思考も思想も異なると思われます。しかし、今を生きているという点ではどちらも同じであり、この一見当たり前に見えてなかなか気づかない事実を映す良い短歌だと思います。リズムも端正です。橙田千尋さん

水族館のクラゲの前にいるのでしょうか。
一枚のガラスを隔てて対峙する「我」と「クラゲ」の生。それぞれが持つ「今」という時間という、どこか哲学的な描き方がよいですね。桔梗さん

輪廻転生、そして人生いろいろ、ですね!ふるさとの春さん

情景の描きかたがいいですね。主体の孤独がひしひしと伝わってきます。あひるだんさーさん

「我は我」「クラゲはクラゲ」なんて当たり前のことなのに、自分という存在を肯定されたような気持ちになります。時間がたつほどじわじわと心に染み渡りました。いい歌ですね。倉橋千帆さん

たった一枚のガラスを隔てて、まったく違う生き方をする主体とクラゲとの対比がシンプルで強烈な印象になります。今を生きるというところにも、生命の一瞬を捉えていて好きな歌です。ただようさん

きっと凛とした主体の生き方と、ふわふわと漂っている(だけに見える)クラゲとの対比が鮮やかで心に残る一首です。当たり前のことかもしれないがそこを切り取り、上手く表現されていて味わいのある歌だと思います。木蓮さん

くらげへの転生は希望者が多く人間ならば空きがあります

3席 54pt 桃×1 黄×22 緑×11 Bonus

諏訪灯抹茶金魚度会寿々多実果高村七子のぅてんき御殿山みなみ知己凛大西ひとみ斎藤秀雄キールなぎさらさ静ジャック橙田千尋シュンイチえだまめ甘酢あんかけことりふるさとの春萩野聡倉橋千帆あひるだんさー街田青々薄荷。中條茜月丘ナイル岡桃代わらび衣未(みみ)淡海わこ桔梗


人間への転生希望者は少ないのですね。生きにくい世の中です。くらげのようにふわふわと生きられたら、、、分かる気がします。誰が語っているのでしょうか。たんたんとした口調が短歌の内容と合っていていいなと思いました。大西ひとみさん

ああ、私もくらげ希望だったんですけどねぇ、残念でした・・・(遠い目)のぅてんきさん

「生まれ変わったら鳥になりたい」というのは常套句で、だからなんとなく「転生希望、じゃ、とりあえず鳥で」みたいに「とりあえず生」のノリで言う人が多そうです。「くらげ」を選ぶ人はそういう「とりあえず」のノリを回避したいという信念をもって前々から考えていたフシがありそうですが、同じことを考えていた!という人も多いのでしょうね。下句の皮肉も利いていて、嬉しくなる歌です。斎藤秀雄さん

人間になりたかったホイミスライム(くらげ)という設定が、ドラクエ4でありましたね。その逆を歌っているわけです。くらげのように自由気ままな生き方と、ルールや慣習にがんじがらめにされる人間の生き方を対比させながら、逆説的に人間の優位性にまで踏み込んでいるような気がします。くらげという原始的な生命にあこがれることそのものが、人間のおごり高ぶりなのかもしれません。
シュンイチさん

「くらげへの転生」を希望しているのは、主に人間なのでしょう。苦労が多い人間よりも気楽そうなくらげを選ぶ人が多いということなのでしょうね。くらげを羨む歌は多いですが、この一首での表し方がとてもうまいと思いました。
ただ、くらげの平均寿命は1~2年だそうなので回転率はよさそうですけれど。桔梗さん

「くらげに生まれ変わりたい」と直接言ってはいないのに、どこか切実な気持ちが伝わってきます。さらっとしているのに、人間として生きる辛さというか、上手くいかなさが伝わってきます。わたしもくらげになりたいです。月丘ナイルさん

ガラスには無数のクラゲ 海だった氷雨の中を電車が走る

4席 49pt 桃×6 黄×7 緑×10 Bonus

抹茶金魚度会高村七子黒井真砂知己凛まめたべーた井筒ふみなぎさらさ七緒えだまめヱイ甘酢あんかけ小泉夜雨萩野聡倉橋千帆中牧正太金子りさ岡桃代宮本背水


すべての雨はむかし海だったのですね。ガラスに付いた水滴をクラゲに見立て、主体の乗った電車をまるごと海の中まで引き込んでいくような描写が大胆です。七緒さん

実景は「雨の中を走っている電車」なのですが、まるで海の中を走っているような幻想的な風景が広がります。クラゲの使い方が独創的で面白いですね。
俳句では夏の季語であるクラゲと、冬の季語である氷雨が混在しているのがもどかしいところですが、冬にクラゲのお題が出てしまったことの妙ですね。倉橋千帆さん

氷雨、元々は夏の季語だったようですね。わたしも前に評されているいる方と同じく冬のお歌だと取りましたが、どちらの景でも美しく感じました。とても好きな一首です。
クラゲは最初、窓についた水滴のことだと思ったのですが、乗客自体をクラゲとして読んでみてもいいな、と感じました。海だった氷雨を潜るように進む電車が素敵です。
小泉夜雨さん

窓ガラスに映った乗客たちのぼんやりした表情とクラゲを重ねて読みました。うつくしさのなかに寂寥感もあり、電車が雨を従えて走る情景にも惹かれました。倖さん

車窓に打ちつけられる雨粒をクラゲに見立てていて、美しいお歌だと思いました。一字あけの後の第三句から、時間をはるか遡った様子が伝わってきました。岡桃代さん

ガラスに無数の水滴を纏って走る電車の実景と、電車内部から水滴を見つめている主体がかつて海だったすべての水の記憶を幻視しているかのような様子とが多重世界のように重なって見えます。とてもとても永い時間を内包しつつ刹那的な、視覚も時間感覚も多層的な歌で好きです。黒井真砂さん

水槽の海月をみると好きだった帽子をおもいだしてくるしい

5席 44pt 桃×5 黄×7 緑×8 Bonus

抹茶金魚度会久哲しま・しましまなぎさらさ七緒鶴田よめしちみとう甘酢あんかけ小泉夜雨ひの夕雅中牧正太金子りさ街田青々薄荷。ただよう淡海わこ


クラゲのイメージからすると、かわいらしい帽子だろうと想像します。かわいらしい帽子が好きという人物がいて、さらにその帽子がくるしい記憶に結びついているというのが印象的でした。好きとくるしいが表裏一体で、クラゲのようにふわふわ感情の波を漂っているような印象を持ちました。抹茶金魚さん

この歌は一見、平凡には見えますが『水槽』から室内を連想させ、この空間の使い方が巧いですね。ここには主体と水槽と海月しかいない。室内なのに雨まで降っていそうだ。実景と言うよりも多分に心象でしょうが、海月の揺らぎと失くした帽子への痛み。このシンクロが、言い知れぬ『くるしい』を際立たせていますね。好きな歌です久哲さん

クラゲを見て好きだった帽子を思い出す、とてもシンプルな表現なのに奥行きのある歌だなと感じました。失ったものは、特に好きだったのに失ったものはたいてい、二度と同じものは戻ってこない。そういう種類の苦しさでしょうか。水槽のクラゲという非日常的な情景から、好きだった帽子という日常まで一気にもっていく、幻想的になりがちな題をあくまでリアルに描いている歌だなと思います。好きです。七緒さん

「おもいだしてくるしい」がすごくいいなって思いました。
普段いつも意識してしまう記憶ではないところにある、ぼんやりした記憶に妙に胸が締め付けられるような気持になってしまう感じってあるんで、そういうのかなって思います。淡い郷愁のような。
水槽の海月からの帽子の連想がなめらかで、そこからの「くるしい」の意識の飛ばし方も好きです。しま・しましまさん

クラゲの形状を考えると、ベレー帽でしょうか。そして触手と髪の毛を重ね、好きだった女の子の姿を思い出す男の子の心情だと読みました。
「帽子」までは漢字を多用しているのに対して「おもいだしてくるしい」はひらがな。大人になった主体が思い出してしまうのは幼少期の記憶でしょう。背景にどんな物語があるのか気になる読後感です。倉橋千帆さん

かたちとしてはベレー帽やキャスケットのような帽子でしょうか。好きだったけれど今は手元にはない帽子なのでしょう(あるいは自分の帽子ではなく誰かのかぶっていた帽子?)。何かそれにまつわる特別な思い出があったりする帽子だったのかもしれませんね。
くるしくなるのがわかっているのなら見なければいいのに、と思いますが、それでもたびたび海月を見てしまうのかなという気がします。
桔梗さん

どんな帽子だったんだろうか...と想像すると楽しくなりました笑。そして結句の「おもいだしてくるしい」っていうのもいいですね。くるしいの?...そんなに?...って笑。 さぞかし素敵な帽子だったんだろうなあ。ぜんぶひらがなで表記することでコミカル感というか硬くなりすぎない雰囲気を作っていてとても好きでした。街田青々さん

「おもいだしてくるしい」の平仮名表記がいいです。好きだったのにくるしいし、くるしいのに見ずにはいられないという感情の揺らぎが、クラゲのイメージに合っていると思います。薄荷。さん

場の空気よめぬ私の言の葉が海月のように浮かぶテーブル

6席 40pt 桃×3 黄×10 緑×6 Bonus

夏山栞抹茶金魚セニョール・ベルデ知己凛斎藤秀雄可奈美えだまめヱイ甘酢あんかけ小泉夜雨ひの夕雅中條茜月丘ナイル岡桃代夢見鳥淡海わこカズト


作中主体が発した言葉が“何かよく見えないけど、確かに存在して消えない空気”として、その場にいる人たちに持て余されている様子が目に見えるようです。重たい空気を軽く表現していることに惹かれました。ヱイさん

場の空気が読めなかった私の言葉が浮いてしまった状況に、海月がイメージとしてあらわれることで、幻想的な気まずさが出ていて良いと思います。ただ、「言の葉」だと字面が綺麗すぎて、空気の読めない発言というイメージが薄まってしまうのではないかと感じました。橙田千尋さん

自力では泳げないクラゲ。自分ではどうにも出来ない発言を、誰かがうまく捕まえて会話を続けてくたらいいのに・・・。気まずい空気が漂っていることが分かります。
私も前の方と同じように「言の葉」が引っかかりました。言の葉には和歌という意味もありますが、やはり発言のことでしょう。「言葉」では音数が合わなかったからでしょうか。
文語体と口語体が混在しているのも気になります。倉橋千帆さん

ありふれた夜に沈めるきょうの嘘くらげの動画だけがあかるい

7席 38pt 桃×3 黄×9 緑×11 Bonus

抹茶金魚度会高村七子御殿山みなみ斎藤秀雄しま・しましまなぎさらさ静ジャックえだまめヱイ甘酢あんかけ宮嶋いつく小泉夜雨木蓮中條茜ただよう月丘ナイル西村湯呑岡桃代宮本背水カズト桔梗


主体はどんな気持ちでクラゲの動画を見ているのか。そういえば、クラゲの動画には明るいイメージがあります。
嘘を沈めた夜はきっと真っ暗なのでしょう、そこに浮かぶクラゲは嘘をついた主体を責めるのか救うのか。
明暗のコントラストが美しい歌だと思いました。なぎさらささん

下の句の「くらげの動画だけがあかるい」が、液晶画面で見る動画のリアルな感じがあるなって思いました。上の句が、なんとなくわかるような気がするけど、具体的にわたしの想像が追いつかなくて残念な気がしました。しま・しましまさん

就寝前に電気を消した状態で、クラゲの動画を見ながら物思いに耽っている主体が浮かびました。どんな嘘だったのかは分かりませんが「ありふれた夜」と言うから、誰かを傷つける嘘ではないのだと思います。
暗い気持ちと明るい画面の対比がいいですね。倉橋千帆さん

どんな嘘だったのでしょうか。「くらげの動画だけがあかるい」という下の句からすると、やはり真っ暗な部屋のなかでひとり液晶画面を見ている主体の姿が浮かび上がってきます。そしてその嘘は主体にとってあまり気分のよいものではなかったのでしょうね。
桔梗さん

ありふれた夜を迎えているのだから、その日主体がついた嘘もありふれたものだったのかもしれない。誰の傷にもならないような小さな嘘のように思える。しかし主体にとっては夜になってもなお気にかかる嘘となってしまった。暗い部屋で(おそらくは癒されたくて)開いたクラゲの動画。明るさを放ちながらも小さな画面の中で動くクラゲたちに主体は息苦しさを感じ、自分と重ねたかもしれない。ひとつの景の中で明暗の対比が活きている。二宮 隼人さん

上の句と下の句の対比がいいと思いました。岡桃代さん

ああなんてクラゲ一匹打ち捨てて海は大きな瘡蓋だろう

8席 38pt 桃×3 黄×9 緑×7 Bonus

抹茶金魚高村七子久哲斎藤秀雄まめたべーた井筒ふみなぎさらさヱイ宮嶋いつく小泉夜雨萩野聡中牧正太街田青々ただよう計以けら淡海わこ桔梗


この歌のおもしろさは、冒頭〈ああなんて〉が、散文的に読めば〈海は大きな瘡蓋だろう〉にかかり、流れで読めば〈クラゲ一匹打ち捨てて〉にかかる(後者は「なんてことだろう!」みたいな、嘆き・驚きに見えます)、という一見たんじゅんに見えて、重層的な構造にあると思います。そして〈海〉を〈大きな瘡蓋〉に見立てるという発想も、面白い。それが、〈クラゲ〉を〈一匹打ち捨て〉ることによって(ちゃんと?)〈瘡蓋〉になった、というなんて。強引で短歌的な飛躍を含んだ発想がすごいと思いました。技量と、力技の両方を使った、力強い歌です。斎藤秀雄さん

下句のポエジーに惹かれます。それだけに上句は勢いで作ってしまったような感があって、もったいないような気がしました。シュンイチさん

下句の印象がつよい一首だとおもいました。渚から波がひいてゆく感じと、瘡蓋を剥がしゆく感じとは、案外似ているのかもと気づかされました。計以さん

「海は大きな瘡蓋」という表現に惹かれて選びました。初句の「ああなんて」は大きな詠嘆のみですので、違う言葉でも良かったかもしれません。高村七子さん

クラゲの方が瘡蓋なのではなく、海が瘡蓋だというのがおもしろいです。初句の「ああなんて」というやや大げさな詠嘆が、絵本の語り口のようで合っているように思います。桔梗さん

僕といふ人もゐたねと砂浜で君はクラゲに語るのだらう

9席 37pt 桃×2 黄×11 緑×10 Bonus

夏山栞抹茶金魚御殿山みなみ知己凛大西ひとみ斎藤秀雄芍薬なぎさらさ静ジャック七緒きつね小泉夜雨萩野聡ひの夕雅中牧正太街田青々中條茜月丘ナイルけら宮本背水カズト桔梗


村木道彦さんの「するだろう ぼくをすてたるものがたりマシュマロくちにほおばりながら」をちょっと思い浮かべました。
「君」の中で「僕」はどんな存在だったのかを語る相手がクラゲというところが、どこか物悲しくもありおもしろいですね。桔梗さん

「思い出してもらえる関係」として「僕」が存在するという切なさに着目しました。そしてそれを語る相手が、砂浜で絶え絶えになりつつあるクラゲ。悪態をつかれるか、それとも「いい人だったのよ」と吐息のように漏らされるのか。クラゲの存在感のように拠り所のない雰囲気があって、私は何度もこの歌の前を通り過ぎて戻ってきました。
これは私の空想ですが、もし、この主体「僕」がもう亡き人であったのならば、まるで絵本のような淡い色合いの美しさもあるなぁと思います。自分の想い出の中にいる人のことをクラゲに語る女性は、恐らく、他の人の前では「僕」のことをすっかり忘れて消し去ったふりをするのでしょう。そうあってほしいと願う主体の儚い願望が何ともクラゲにマッチングしていて、愛しい歌だなぁと感じ入りました。ひの夕雅さん

この街が水槽となる雨の日にわたくしといふくらげいつぴき

10席 37pt 桃×0 黄×16 緑×12 Bonus

諏訪灯抹茶金魚高村七子のぅてんき御殿山みなみ知己凛大西ひとみ斎藤秀雄芍薬しま・しましま橙田千尋シュンイチしちみとう甘酢あんかけことり小泉夜雨萩野聡倉橋千帆中牧正太木蓮薄荷。ただよう月丘ナイル計以わらび宮本背水淡海わこ


きれいにまとまっているのですが、きれいすぎて引っかかるところが少ないので損なような気がしました。わたしがくらげになってしまうのは独特な身体感覚のようで惹かれますが、わたしが別の何かになるという歌はたくさんありますので…。シュンイチさん

不安定に街で漂っているような気持が感じられていいなと思いましたが、「この街が水槽となる雨の日」という言い回しに、なんとなく説明ぽさが感じられました。しま・しましまさん

くらげだから水槽である必然性はないわけで、やはり雨の日を水槽にたてるあたりに閉鎖的な感情の伴った景がひろがります。意外だったのは、結句の「いつぴき」で、閉鎖空間の中の孤独を覚えるのですが、水槽というチョイスにはどこか都市的なものを思い浮かべたからか、くらげはひしめいているのではと勝手に予想してしまったのです。しかしこのいつぴきは心理的なものなのではと考えると、とてもいい歌だと思います御殿山みなみさん

骨のないクラゲになれば雨降りを憂鬱におよぐ街は一匹

完成されていて、難しい評は少し邪魔になりそうです。
相市 思咲さん

かなしみのないこともまたかなしいか 青いひかりに照らされる海月

11席 36pt 桃×1 黄×13 緑×10 Bonus

諏訪灯夏山栞抹茶金魚寿々多実果高村七子斎藤秀雄キールなぎさらさ静ジャック七緒ヱイ甘酢あんかけ小泉夜雨苔井 茅街田青々木蓮中條茜民生岡桃代わらび夢見鳥けら宮本背水


クラゲには脳がなく、知能がないと言われています。悲しみを感じることもなければ、反対に喜びも感じない生物。平仮名の多用により柔らかくて幼い印象の歌ですが、上句の心情の吐露は大人の冷めた視点のようにも思います。「かなしみ」「ひかり」を平仮名にする一方で「海月」を漢字にしたのはどのような狙いだったのでしょうか。
歌全体に寂寥感が広がるなか、結句の字余りが引っかかり鑑賞の妨げになっています。リズムよく最後まで読めるといいのですが。倉橋千帆さん

下の句の8、8が気になりますが、きれいなお歌だと思いました。岡桃代さん

上の句がいいですね。下の句は破調ですが、定形に収めることも出来たのではないかなとは思います。高村七子さん

背を倒す美容師の手に導かれ海をただようくらげになろう

12席 32pt 桃×1 黄×11 緑×14 Bonus

諏訪灯抹茶金魚度会寿々多実果高村七子セニョール・ベルデ御殿山みなみ知己凛久哲斎藤秀雄芍薬しま・しましまなぎさらさ静ジャックえだまめ甘酢あんかけことり倉橋千帆ひの夕雅あひるだんさー中牧正太中條茜岡桃代宮本背水淡海わこ


髪が長い人はみんなクラゲになれる!良いですね。洗髪の時ってどこか無防備な感じがあって、それが、ひと時のあいだ人間を手放してクラゲのように漂う間際の主体と重なります。結句がくらげに「なろう」で積極性があるのも面白いと思いました。七緒さん

美容院のシャンプー台でのことと思います。あの感じとくらげはなんか分るなぁって思うんですが、「なろう」のところでややとまどってしまいました。しま・しましまさん

美容師の手に体重をかけ、ゆだね、そしてほどけるような感覚を、くらげと表現されたのかなと思いました。心に一番届きました!甘酢あんかけさん

美容院でシャンプーしてもらう時の、独特の感じをうまく表現されていると思いました。何もかも美容師にまかせるしかない、解放感と不安が混ざったような感じ。こっちは無に近づいているから、シャンプー中にあんまり話しかけないで欲しいんですよね……。苔井 茅さん

美容院で髪を洗ってもらうところなのでしょう。シャンプー台に座って自分の長い髪を後ろのお湯に浸しているときの様子は当然見れませんが、かけられた布の下で目を閉じている時にそんな風に想像をしたくなりますね。桔梗さん

発光するクラゲに見入る少年よ ほら、いのちってうつくしいだろ

13席 32pt 桃×1 黄×11 緑×5 Bonus

諏訪灯夏山栞抹茶金魚高村七子キール可奈美なぎさらさ静ジャック七緒ヱイ甘酢あんかけ宮嶋いつく小泉夜雨街田青々amico薄荷。桔梗


発光するクラゲと少年の対比が、とても美しい。それだけで、十分、一首に成り得ていると思う。そう考えると、下の句の直截的な措辞が、やや過剰だろうか。まめたべーたさん

水族館での光景でしょうか。「少年」という言葉の示す年齢の幅はわりと広いですが、この少年はいくつくらいなのでしょうね。
まだいのちがどんなものかもわからない小さな子とも読めそうだし、逆に思春期に差し掛かってあれこれ思い悩んでいる子とも読めそうな感じがしました。個人的には後者で読みたい感じですが。
桔梗さん

未練など残さずさつぱりいたしませう中華クラゲは胡瓜と和えて

14席 29pt 桃×0 黄×12 緑×11 Bonus

夏山栞抹茶金魚のぅてんき知己凛大西ひとみ芍薬キールしま・しましま井筒ふみ静ジャックことりきつね小泉夜雨中牧正太街田青々ただよう民生月丘ナイル岡桃代夢見鳥淡海わこ


冷製さが魅力。いや、冷静。
でも、コリコリとしこりが残っているかもしれませんね。のぅてんきさん

未練が残りそうな気持的なことをあっさりとした感じで詠まれてていいなって思いました。料理をするっていう動きと酢の物のさっぱりした感じも爽やか。
「和えて」は「和へて」ではないかと思います。しま・しましまさん

口語だったら纏まっていて好きでした。古語により重さが出てしまいます。未練を残すwordsに引っ張られれるように古語にして主体の気持ちを表しているのかと深読みはできますが、
深読みするのが似合わない首ですので口語で自然にライトに表したらとても良いんではないかなぁ?と思いました。鶴田よめさん

何かとの関わりを断ち切る決意をしたのでしょうか。未練を残さない「さつぱり」感が、中華クラゲと胡瓜の和え物につながっているところがユニークですね。
※前評者の方に。この歌は古語(文語)ではなく口語体で書かれています。旧かなは文体(文語・口語)ではなく表記の方法なので。桔梗さん

評なのに間違えてしまいごめんなさい。現代かな使いで表記してはいかがですか?、ですね!教えて下さった方とこのお唄と作者様感謝致します。鶴田よめさん

未練を残したくない強い意思を感じます。
胡瓜とのさっぱり感がいいですねただようさん

灼けた背に痛みを一つ残しては夏の終わりを海月が告げる

15席 27pt 桃×0 黄×11 緑×9 Bonus

諏訪灯抹茶金魚寿々多実果大西ひとみキール可奈美なぎさらさ静ジャックシュンイチしちみとう甘酢あんかけ小泉夜雨中牧正太金子りさ中條茜岡桃代わらび衣未(みみ)淡海わこ


「灼」の字を使ったところに、ただ単に海月に刺されただけではない、灼熱の何かがこの夏にあったのかなと想像しました。その「傷み」がまだ身体に残っている、でももう夏は終わりである、そんな風に読みました。(間違った解釈だったらすみません)
「背」(後ろ姿)に、まだ前を向けない主体を想像させます。大西ひとみさん

クラゲと夏の終わりのイメージがぴったりかさなりました。特別な夏が終わってしまったことが「灼」や「残」の字から想起されて、ひりひりとした青春への思いを感じます。シュンイチさん

「灼けた背」は日焼けした背中かな、と思って、それくらい海で泳ぎまくった特別な夏だったんだなあ、と思いました。「痛みを一つ」は海月に刺された跡で、そこが作者の印象的な海の思い出になっていて、「痛み」から夏の季節感を感じ取っているところが素晴らしいなと思いました。ただ「夏の終わり」「告げる」が慣用的な詩情の表現になっていて、もっと違う表現がいいかなと思いました。萩野聡さん

くらげくらげ自由に漂ひゆき給へゼリーフィッシュと呼ばるる海まで

16席 26pt 桃×1 黄×8 緑×7 Bonus

斎藤秀雄まめたべーたキール七緒しちみとうヱイ甘酢あんかけ萩野聡中牧正太金子りさ薄荷。ただよう民生計以


英語圏の国の海まで自由にいけ、と呼びかけていると読みました。自由を言う時、能動的であることがセットになるような印象が個人的にあるのですが、漂うくらげの自由さで遠い海を目指す気軽さというか、気負いのなさがよいと思いました。抹茶金魚さん

一番「クラゲ」を感じたのがこのお歌でした。初句の「くらげくらげ」というのも、クラゲが漂っている感じが伝わってきましたし、読んでいてとても心地のよいお歌だなと思いました。キールさん

目に二匹クラゲがいるし見ていいよ水族館としての私を

17席 25pt 桃×2 黄×5 緑×7 Bonus

抹茶金魚高村七子御殿山みなみ斎藤秀雄井筒ふみなぎさらさ甘酢あんかけふるさとの春中牧正太街田青々計以宮本背水衣未(みみ)


目を水槽に見立てて「見つめ合いたい」相手への誘い。と読みましたが、いまひとつ読みへの自信がありません。二匹のクラゲは両目に一匹ずつなのかなあ。久哲さん

目に二匹クラゲがいる、という描写から、主体と相手が水族館的な場所におり、クラゲを見ている相手を見ている主体、が描かれます。まずこの景にさびしさがある。というのも、相手は主体を見ていないからです。それでも相手を見ている主体。そこから「見ていいよ」とくるので、クラゲを見てていいのか主体をみてもいいんだよとくるのか、後者できたわけですが「水族館としての」が大変秀逸です。クラゲに夢中な相手を振り向かせるのではなく、クラゲごと空間ごと主体は飲み込もうとしている。それは二人でいる空間への親愛だと思うのです。御殿山みなみさん

目にいるクラゲは「私」がはめているコンタクトレンズ(ソフト)のことを差しているのかなと読みました。
クラゲが二匹いるだけで水族館だと言い張るのはちょっと強引かなと思いますが、それが「私」という主体のキャラクタでもあるのでしょう。
桔梗さん

上の句をうまく読むことが出来ませんでしたが、下の句の雰囲気が良いなと思いました。直接自分を見て欲しいというのではなく、「水族館」として見られても良いという主体が可愛く、健気です。ただようさん

広すぎるベッドをするり抜け出せばクラゲの化石の形にへこむ

18席 25pt 桃×0 黄×10 緑×10 Bonus

抹茶金魚度会黒井真砂セニョール・ベルデ大西ひとみ斎藤秀雄まめたべーた井筒ふみ静ジャックシュンイチ甘酢あんかけきつね小泉夜雨萩野聡月丘ナイルわらび淡海わこ桔梗


「広すぎるベッド」は、以前は二人で使っていて、一人で使うには広すぎるのかなと読みました。「化石」という言葉に、昔の思い出のようなものが風化したイメージと重なりました。「クラゲの化石」と言う言葉のアイテムもいいなと思いました。大西ひとみさん

エディアカラ動物群という、原始の軟体動物の化石がたくさん残っていることで有名な遺跡がありますが、たしかにクラゲの化石はベットに残る人の痕跡みたいだなあと思いました。軟体動物だから化石は残りにくいはずなんですけれど、そこに自分が生きていた痕跡をクラゲの化石と評したところに趣を感じました。シュンイチさん

「広すぎるベッド」はもともとは二人で使っていたベッドで、いまは一人で使っているのでしょう(その夜だけのことなのか、それとも継続的なものなのかはわかりませんが)。抜け出したのは主体だと思うので、本来は自分がそこに眠っていたときのかたちにへこんでいるのだと思うのですが、それを「クラゲの化石」と喩えるのは多分に主体自身の気持ちが反映されているように思いました。
桔梗さん

海月にも私にもある魂の薄さを比べる水槽越しに

19席 24pt 桃×1 黄×7 緑×6 Bonus

夏山栞抹茶金魚高村七子黒井真砂斎藤秀雄なぎさらさ静ジャック中牧正太苔井 茅金子りさ街田青々中條茜西村湯呑わらび


半透明のクラゲを魂ととらえ、それを「薄さ」と表現したところが面白いと思いました。ふわふわとしてつかみどころがないところは、まさに魂のようですよね。ただようさん

どこまでも透明で答えのでない問いだと思いました。金子りささん

どこまでも透明で答えのでない問いだと思いました。金子りささん

街の灯が港のクラゲを照らすなか言うべきことを言えないでいる

20席 23pt 桃×2 黄×4 緑×10 Bonus

夏山栞抹茶金魚度会セニョール・ベルデ久哲大西ひとみ静ジャックシュンイチヱイ甘酢あんかけ宮嶋いつく中牧正太街田青々月丘ナイル岡桃代


街の灯を背に受けながら海に向かって好きな人と二人漂い、告白をしようとしている主体なのでしょうか。星や月だって遥か遠くから見守っているよ。頑張れ。(海に落ちないでね)セニョール・ベルデさん

全体的に説明口調な点や、「言うべきことを言えない」とい部分に類想歌が多いことなど、工夫の余地はたくさんあると思うのですが、歌全体に漂うロマンティックな雰囲気と、街と海、灯とクラゲという人工物と自然物の対比が効いていて、よく作り込まれていると感じました。シュンイチさん

情景がとても綺麗だなあと思いました。どんなことを言おうとしているのだろうかと考えることで広がりができて色んなドラマが頭を巡りますね。大事なことを言いたいのに「あっくらげきれい…」みたいな感じで別の事を考えてしまったりして…笑。ああなんか掘れば掘るほど好きになってきました。街田青々さん

水槽にかがみ
鏡になるクラゲ
愛は
触手





21席 23pt 桃×0 黄×9 緑×13 Bonus

抹茶金魚斎藤秀雄まめたべーた芍薬なぎさらさ七緒しちみとうえだまめ甘酢あんかけ宮嶋いつくことり小泉夜雨中牧正太金子りさ街田青々ただよう月丘ナイルわらび宮本背水衣未(みみ)カズト


これはクラゲの触手を表している、形も鑑賞する短歌なのかなと思いました。寿々多実果さん

クラゲの形を表現されたのだと思います。奇をてらっていますが、その分好き嫌いはわかれるかもしれないですね。形ばかりに目をとられてしまって歌が少しかすんでしまっているように見えて、もったいないなと思いました。知己凛さん

もしこのお歌が、もっと広いところ、例えば1ページに一首だけのっていたとしたら、素敵だろうなぁと思いました。思わず、この形に目がいってしまいましたが、改めて読むと「愛は触手の先の先まで」にゾクっとします。キールさん

一行目の〈かがみ〉をどう読むか。「鏡」と思って読むと二行目に〈鏡〉が出現して、ということは「屈む」の連用形かな?とバックして意味をとらえなおす。この、後ろに反射させる書き方で、〈かがみ〉と〈鏡〉が二枚合せの「鏡」になっていて、触手がどこまでも延びてゆくように、合わせ鏡のループが続く。記述法に必然性があって面白いと思いました。斎藤秀雄さん

一首屹立のうたの日には少し勿体無いかもしれません。
下の句とても好きでした。視覚で惑わす事を前提として
惑わせてなお付いて来る一首は本当に難しいです。鶴田よめさん

やっぱりまずは形に目がいきました。こういうチャレンジしていく感じ好きです。
かがみと鏡は言葉遊びなのだと思って、この歌のイメージと合わないように思いました。きつねさん

海のない町だと嘆く君といて海月のような雲を見上げる

22席 23pt 桃×0 黄×9 緑×8 Bonus

抹茶金魚久哲キール可奈美なぎさらさえだまめヱイ甘酢あんかけ倉橋千帆中牧正太街田青々中條茜計以夢見鳥けら宮本背水カズト


海の月と書くクラゲを空の月とリンクさせて詠むのかと思いきや、雲につなげたのが意外でした。薄く頼りない感じのまあるい雲でしょうか。芍薬さん

きっと海のように青い空なんでしょうね。主体の優しい眼差しが表現されていると思います。倉橋千帆さん

あの娘今日は二人だねってふわふわとクラゲは笑う水槽の中

23席 22pt 桃×1 黄×6 緑×2 Bonus

抹茶金魚寿々多実果のぅてんき甘酢あんかけことり小泉夜雨ひの夕雅amicoけら


クラゲに彼を紹介に来たあの娘の律儀さが素敵です。クラゲによる彼の評価が気になるところです。セニョール・ベルデさん

水槽にふわふわただようたくさんのクラゲは、たしかに楽しくお喋りしているようにも見えます。あの娘はきっと常連なんですね。ことりさん

人間がクラゲを見ている一方、クラゲもこちらを観察しているのだろうと想像する一首である。「今日は二人」という相手は恋人かもしれないし、同性の友人かもしれないが、どちらにしてもクラゲが笑っているのだから「あの娘」は楽しそうなのだろう。水族館での微笑ましい景が浮かぶ。二宮 隼人さん

いつもはひとりでクラゲを見に(水族館等)に来ている「あの娘」が、今日はだれかと一緒にやってきたのでしょう(デートかな?)。人が見ているのではなく、クラゲに見られているというのがおもしろいですね。桔梗さん

むかしむかしクラゲとクジラは恋に堕ちそっと触れあいふたりで溶けた

24席 21pt 桃×2 黄×3 緑×9 Bonus

高村七子久哲斎藤秀雄芍薬橙田千尋小泉夜雨ひの夕雅あひるだんさー中牧正太街田青々amicoわらび宮本背水淡海わこ


クラゲとくじらの恋、素敵な発想だと思います。お話の続きが気になります。可奈美さん

クラゲとクジラは名前が似ているところからの着想でしょうか。大きさが違いすぎて、どんな出会いでどんな会話をしていたのかと思うと面白いですね。イラスト付きで見てみたい歌です。倉橋千帆さん

クラゲとクジラ……「恋に堕ち」という文字使いから禁断の恋だったのだろうか。しかも「ふたりで溶けた」となれば悲恋を想像させる。童話的だが、それだけではない何かを感じさせる一首でもある。二宮 隼人さん

美濃焼の碧い器の海にいてクラゲになったふりの豚まん

25席 21pt 桃×0 黄×8 緑×14 Bonus

諏訪灯夏山栞抹茶金魚黒井真砂なぎさらさ静ジャック橙田千尋しちみとうヱイ宮嶋いつくふるさとの春倉橋千帆ひの夕雅中牧正太苔井 茅街田青々薄荷。月丘ナイル衣未(みみ)淡海わこ


想像してみると、確かにクラゲっぽくみえるなとほっこりしてしまいました。豚まんも漂ってみたいとも思ったのかもしれませんよね。しちみとうさん

見立てがおもしろい一首です。美濃焼の大皿なのかも。
個人的には、豚まんよりもあんまんのほうがくらげっぽいなと、どうでもいいことを考えました。宮嶋いつくさん

主体は美濃焼の器に置かれている豚まんのかたちがクラゲっぽいと感じたのでしょうか。
かたちが似ているからといって質感も色も違うクラゲにはなりえない訳ですが、そこで豚まんが「クラゲになったふり」をしているのだ、というところが楽しい歌だと思いました。桔梗さん

上句は気品があり優美な美濃焼の器。下句はお茶目な豚まん。ギャップがいいですね。
そんなところで何をやってるんだ、豚まん(笑)倉橋千帆さん

美濃焼の碧を海に見立てる感覚が好きです。美濃国(土岐市)には海はないですからね。あの碧は憧れの碧かもしれません。
自宅で、豚まんをレンジでチンするときに、頃合いの皿がなく、こいつが登場したのでしょう。日常が波のように押し寄せてくるような天晴の景です。
私にはこの豚まんが冷めているように見えるんですよね。クラゲになったフリというのは、湯気が出ていては様になりません。そんなところまで写真のようにこちらに訴えかける真っ直ぐなパワーがあるように思えました。ひの夕雅さん

見立てのたのしいうたと思いますが、「豚まん」の体言止めがオチになってしまっているようで残念な気がしました。しま・しましまさん

こんど豚まんを食べる際、青いお皿にのっけてみたくなりました。計以さん

初句の美濃焼に引っかかりました。海っぽい焼き物がよかったかもしれません。美濃焼は日常使いに適していてリアルさは出ますが肉まんの対比を効果的にする為には色々な選択肢があります。鶴田よめさん

係長の僕にも春が来ないかなぁクラゲの動画見たりしながら

26席 21pt 桃×0 黄×8 緑×11 Bonus

抹茶金魚寿々多実果のぅてんきセニョール・ベルデ御殿山みなみ久哲斎藤秀雄しま・しましま静ジャック甘酢あんかけ萩野聡倉橋千帆苔井 茅木蓮薄荷。ただよう民生


この歌、どうしてこんなにいいんだろう?とずっと考えていたのですが、冒頭を字余りにしてまで〈係長の〉と〈僕〉を限定しているんですね。24時間ぐらいずっと考えていて、字余りだとまったく気づきませんでした!(にぶい!)〈僕にも~〉以下が、流れるようにさらさらと、クラゲがたゆたうように、贅沢に歌われていて、字余りにしてまで〈係長の僕〉という情報を提示したことが、ぜんぜん押し付けがましくなく、詰め込んだ感じも与えず、気持ちがいいです。春がきたら「桃色係長」と命名します。斎藤秀雄さん

「僕にも春が来ないかなぁ」の「かなぁ」のほわっとした感じに「クラゲの動画」が合ってていいなって思いました。
あえて「係長」という役職で自分を括っていうところ、「僕にも」っていうところから、仕事中、誰かに春が来たというニュースを聞きながらちょっと油を売ってる、みたいな情景が想像されてわびしくも面白いうたって思いました。しま・しましまさん

ふよふよしている感じがして係長かわいいなあと思いました笑
一首全体に漂うゆるさがまたクラゲっぽくていいなと思います。小泉夜雨さん

クラゲの動画を詠み込んだ歌は他にもあるので流行の動画があるのかなと思いましたが、癒やしを求めているのでしょうか。
出世街道に乗り遅れ、恋人もいない主体がクラゲの動画を見ながら寂しい気持ちを鎮めている場面が浮かびました。「かなぁ」に係長の個性が表現されていて面白いと思います。倉橋千帆さん

係長、冬の時代が長いのかなぁって、でもとってものんびりされている人みたいだし、きっといつか来るわよ♪とデスクに缶コーヒー置きたくなる衝動に駆られますね(笑)。ひの夕雅さん

「春が来ないかなぁ」とか言いつつ、全然焦ってなさそうなところがクラゲのゆったりとした動きと合っていていいなあと思いました。大らかそうなところが素敵です、係長。黒井真砂さん

マリンスノウ静かに積もる海の底 雪やこんこと浮かれるクラゲ

27席 21pt 桃×0 黄×8 緑×4 Bonus

諏訪灯のぅてんきセニョール・ベルデ芍薬キール鶴田よめ甘酢あんかけ中牧正太月丘ナイル衣未(みみ)淡海わこ


プカプカ浮いているだけに思えるクラゲですが、マリンスノウを見てこんな風に感じているクラゲもいるかも、と想像しました。ほんわりとした風景が浮かびます。諏訪灯さん

クラゲが雪に浮かれて動いているのを想像すると、雪に喜ぶ子供のようでとても可愛らしいなと思いました。しちみとうさん

現代版の小林一茶の雰囲気があり素敵です。かわいらしい情景もが浮かびます。甘酢あんかけさん

全力で泣きたいときの笑い方くらげ教えてくださらないか

28席 20pt 桃×1 黄×5 緑×8 Bonus

抹茶金魚大西ひとみなぎさらさ七緒鶴田よめえだまめことり小泉夜雨あひるだんさー金子りさ木蓮薄荷。


「泣きたいときの笑い方」せつないですね。泣きたいのに笑わなくてはならないが、そんな時の笑い方がわからない。くらげに聞いたらわかるのかな。くらげは何だか笑っているようなイメージがあるのは、私だけでしょうか。大西ひとみさん

くらげに聞いてしまう処がどこまでも人間くさくて好きでした。上の句での感情、思考の破綻を「〜くださらないか」とゆう謎の丁寧語でバッチリ表現できています。選ぶのを寝かせましたが、最初から最後までこの首が好きでした。鶴田よめさん

「全力で泣きたいとき」の「笑い方」というところに主体の行き場のない心があらわれている気がしました。ことりさん

てのひらは骨と肉とで(淡水のクラゲは融ける)少し重たい

29席 19pt 桃×2 黄×2 緑×6 Bonus

抹茶金魚斎藤秀雄まめたべーた七緒鶴田よめ甘酢あんかけ萩野聡薄荷。ただようけら


不思議な魅力があった。パーレンを外して読むと「てのひらは骨と肉とで少し重たい」となって、自分のからだなのにあらためて見つめると何か不思議な身体感覚が生じてくるというような瞬間を詠んだのだろうか。そして、そのてのひらには、くらげが乗っていて、やがて溶けていく。とても面白い身体感覚の歌だと思う。まめたべーたさん

なんとなくわかります。主体の気持ちが見えたらとても素敵な一首になりそうです。鶴田よめさん

淡水のくらげはたまに池に発生していつのまにか消えてしまう儚い生き物です。それに比べるとてのひらは自分でも少し重たい確かな存在です。ふたつが共に生命であることの不思議さに気づいたことを素直に、しかし表現としてはパーレンを使って斬新に歌っているところが面白いと思いました。けらさん

見ろ!人がくらげのようだ 伊勢丹の最上階から眺む新宿

30席 19pt 桃×0 黄×7 緑×11 Bonus

抹茶金魚黒井真砂御殿山みなみ斎藤秀雄キールなぎさらさシュンイチえだまめヱイ宮嶋いつく小泉夜雨倉橋千帆金子りさ街田青々薄荷。桔梗


雨の日なのでしょうか。地上を行き交うたくさんのビニール傘たちがクラゲのように見えた、と解釈しました。違っていたらスミマセン。
有名なアニメのセリフを引用したコミカルな上の句と、「伊勢丹」「新宿」と固有名詞が出てくる現実味のある下の句のバランスが面白いです。夏山栞さん

特別おもしろいことを言っているわけではないんですけれど、勢いがあって惹かれてしまいました。新宿を出してきたところが効果的だったのかもしれません。シュンイチさん

上の句のテンションと下の句のテンションが一致せずに一人だとしたら病的なものを感じます。もっとやり過ぎるか、もう少し冷静に表すかどちらかに振り切ればもっと気持ち悪く病的に印象の残る首に仕上げれそうです。鶴田よめさん

楽しい一首です、勢いと、伊勢丹、新宿、の言葉のチョイスがとっても魅力的です。でも、くらげのようかな?っというところで、ちょっと立ち止まりました。甘酢あんかけさん

ひとがくらげのよう? と頭を捻りますが、伊勢丹の最上階とでたおかげで上から見た視点、ビニル傘の群衆をみているのではと景がひろがります。元ネタがある以上、このいいまわしにはどこか優越的な感覚がひそみますが、伊勢丹からというのがそれらしく、それでいてすこし弾かれたような、さみしい感じも深読みしてしまいそうで素敵です。「眺む」は厳密に言えば「眺むる」ではないかなとは思いました。御殿山みなみさん

私も傘をさしている人の群れを想像しました。詳しくはないのですが、新宿伊勢丹の最上階が屋外だすると、主体もまた雨の中を傘をさして眼下を見ている景ですね。
新宿の有名デパート、それも最上階にいると選ばれた者になったような高揚感があるのでしょうか。そんな主体がちょっと可愛らしく見えます。倉橋千帆さん

初句二句はムスカの台詞をもじったものですね。おそらく雨が降っていて傘を持って動く様を「くらげのようだ」といったのだと思いますが、新宿の伊勢丹の最上階(7階)だとちょっと地上から遠すぎて、ちょっとくらげには見えにくいかなと思うのと、くらげ自体をその位置(すごく上方)からはあまり見ないこともあって、ちょっとくらげっぽさには欠けるのかなというところが気になりましたが、ユニークです。
あと、文語の「眺む」は終止形なので、連体形ならば「眺むる」かなと思います。桔梗さん

天空の城ラピュタのキャラクター、ムスカの印象的なセリフを取り入れていて、発想が面白いなと思いました。ただ、少し「俗」になりすぎてしまっているように思いました。月丘ナイルさん

くらげ来てまたくらげ来て占拠する静かの海の家の軒下

31席 18pt 桃×1 黄×4 緑×5 Bonus

抹茶金魚黒井真砂斎藤秀雄井筒ふみ七緒えだまめきつね薄荷。民生桔梗


正直言ってものすごく悩んで選んだ歌でした。
ですが一晩寝てみると、くらげ来てまたくらげ来てが頭から離れないw
軒下という言葉のチョイスも捨てがたく。井筒ふみさん

「静かの海」は月にある海ですね。「静かの海」の「家の軒下」となると思うのですが、何となく間の「海の家」が目に入ってしまい、月に海の家があって、くらげがわらわらしているところを想像してしまいました。桔梗さん

ひとりでもさみしくはない 透明な水をいだいた海月はひかる

32席 15pt 桃×2 黄×0 緑×9 Bonus

抹茶金魚度会斎藤秀雄静ジャックしちみとうヱイ宮嶋いつく萩野聡街田青々夢見鳥宮本背水


水はもちろん「透明」なのだけど、海月の傘の中に入ると「透明な水」と呼びたくなるような存在感が生まれて、それを海月のあの動きから「抱いた」と表現したところが上手いなあ、と思いました。上の句の「ひとりでもさみしくない」は広い海を漂っている海月を想像して詠んでいるのかな、と思いました。(水族館だと海月は水槽にいっぱいいるので。)結句の「ひかる」もささやかな感じ、ぽっとした希望のような感じがして良いなあ、と思いました。萩野聡さん

同僚の弱音や愚痴を聞きながら中華クラゲをこりこりと噛む

33席 15pt 桃×0 黄×5 緑×8 Bonus

抹茶金魚久哲大西ひとみ静ジャックヱイ甘酢あんかけことり倉橋千帆ひの夕雅街田青々民生西村湯呑


仕事帰りに同僚と居酒屋で飲んでいる情景とか想像しました。「中華クラゲ」が一首の中でちょっとユーモラスないいキャラになってるって思うんですが、「同僚の弱音や愚痴」に対する主体の気持が(もしかしてもともと余りないのかもですが)伝わってこないような気がしました。しま・しましまさん

よそ行きな感じじゃないお店、気さくな間柄。お酒とともに噛む中華クラゲは相槌のようにも思えます。日頃の愚痴を言いたいだけ吐き出せてあげているような気がします。ことりさん

同僚だからこその気楽な付き合いがよく伝わります。中華クラゲをしっかりと味わっているのは、深刻な悩みではなく「弱音や愚痴」だからですね。いい関係だと思います。倉橋千帆さん

同僚に付き合って呑みに出かけているのでしょう。こりこりが話す同僚に対して返事をしているような感じもします。桔梗さん

うつくしいものとして光る水槽のくらげは夢もみるだろうか

34席 13pt 桃×0 黄×4 緑×8 Bonus

抹茶金魚高村七子大西ひとみ斎藤秀雄しま・しましま宮嶋いつく小泉夜雨あひるだんさー中牧正太街田青々amico宮本背水


「うつくしいものとして光る」というくらげの把握のしかたが面白いなって思いました。ただ「夢も」の「も」がちょっと気になります。夢のほかに何を見ているのが前提にあるのかなと思ってしまって。しま・しましまさん

すこし説明的になってしまっているように思うが、水槽の中をただよう美しいクラゲを見ての素直な一首だと思う。二宮 隼人さん

横たわるクラゲは凛としたままで渚は夜をむかえる準備

35席 12pt 桃×1 黄×1 緑×4 Bonus

抹茶金魚斎藤秀雄中牧正太amico民生淡海わこ


下句がとても気になる作品だったのですが、上句があまりピンときませんでした。例えば浜に打ち上げられたクラゲが凛としているとはちょっと思えず。そうするとクラゲは比喩なのかもしれませんが、あのふにゃふにゃ感を「凛」と喩える言語感覚が独特すぎて、光るものはありますが触れられなかったです。シュンイチさん

地元の浜に打ち上げられた藍色に光るビゼンクラゲは、そういえば「凛」という感じだったな、と思い出しました。黒井真砂さん

月あかり波うち際に水海月おまえも海へ還っていくのか

36席 11pt 桃×0 黄×3 緑×8 Bonus

諏訪灯抹茶金魚なぎさらさあひるだんさー中牧正太街田青々木蓮中條茜けら淡海わこ


水海月は既に息絶えているのでしょうか。波にさらわれ、海に引き戻されるクラゲにすら取り残されてしまったような心情。行く場所も帰る場所もない、深い孤独が感じられます。倉橋千帆さん

海岸に打ち上げられたクラゲたち辿ればふたり月まで行けそう

37席 11pt 桃×0 黄×3 緑×7 Bonus

抹茶金魚久哲大西ひとみ斎藤秀雄しま・しましま小泉夜雨中牧正太街田青々薄荷。


「海岸に打ち上げられたクラゲたち」を見たことがないので、イメージしにくいのですが、「月まで行けそう」ということは何か神秘的な感じなのかなと想像して読みました。ふたり一緒なら月までも行けるのかもしれません。大西ひとみさん

点々とクラゲが浜に打ち上げられるのを「月に行けそう」って思うのってロマンチックでちょっと淋しい感じがしていいなって思いました。夏の終わりの海、夜、このままふたりでずっといたい、みたいな想像をしました。しま・しましまさん

私も見たことはないのですが、昼間に海岸に無数のクラゲの死骸が転がっていたらさぞ不気味だろうと思います。夜になるとクラゲが月明かりできらきら光るのでしょうか。
恋人と一緒にいるときの幸福感が伝わり、素敵なふたりだと思いました。倉橋千帆さん

海岸に打ち上げられたクラゲは当然海から来たものと思われるので、それを辿っても月に行けそうとはちょっと思えないのですが、主体(と一緒にいる誰か)にとっては、クラゲは月から来た生き物のように思えるのでしょうか(「クラゲ」は「海月」とも書くから?)。ふたりでいることの幸福感の象徴のようにも思えます。
桔梗さん

晩夏の浜にはよくクラゲが上がっていますね。点々と続くさまは誰かの足跡のようで、辿りたくなる気持ちがわかります。恋人とふたり夏の終わりの砂浜を歩く多幸感が「月まで行けそう」な気持ちを引き出したのかもしれません。倖さん

フェリーフェリー凛とクラゲをかき分けておっぱいよりも勇気がほしい

38席 11pt 桃×0 黄×3 緑×6 Bonus

抹茶金魚セニョール・ベルデ御殿山みなみ斎藤秀雄ふるさとの春ひの夕雅中牧正太岡桃代


フェリーではなくて他の船(たとえばヨットやマグロ船など)のほうが、下の句の面白さを生かせたのではないかと思いました。のぅてんきさん

フェリーの「リー」と凛の「り」が掛かっているのは言葉遊びとしていいかなと思いました。ただ「フェリーフェリー」のリフレインが残念ながら効果的になっていないように感じました。この短歌で言いたいことは、結句にあると思うので、フェリーをリフレインするとフェリーに何か意味があるのか?と思わせますが、何度読んでもフェリーに意味があると思えなくて。(間違った解釈だったらすみません)大西ひとみさん

初句の「フェリーフェリー」のキャッチーさと下の句がどうしてもうまく結びつけられませんでした。短歌的飛躍だとしても、飛躍しすぎているというか。
クラゲをおっぱいに見立てているのか?とも思ったのですが、クラゲを手に入れたわけでもないですし。
要素を整理する余地はありそうです。なぎさらささん

上の句が魅力的です、下の句がどういうことなのかな、と気になりました。甘酢あんかけさん

おっぱいと逃げるように発言してしまうことがインターネット上でも散見される(経験もありますが)現在、下の句からは大事な場面で茶化さない勇気を求めているような、そんな感情を読み取りました。そう考えると、クラゲをかき分けていくフェリーというのはそうせざるを得ない部分はあるにせよ、勇気のある進水をしているように主体に見えたように思えました。読み手によってはこのような投影をする歌だと思います。クラゲの丸みのあるイメージとおっぱいは決して断絶したイメージではないとも感じます。御殿山みなみさん

時間をかけて深読みしまくれば繋がらなくはないと思いますがもう少しわかり易くして頂けると嬉しいです。鶴田よめさん

色々考えたのですが、歌全体としてのつながりがよく分かりませんでした。クラゲの形からおっぱいへのイメージや上の句の響きは魅力的だと思います。薄荷。さん

フェリーに乗って傷心の旅の途中、クラゲ大量発生の海を眺めている、と読んでみたらちょっと映画のワンシーンみたいでした。失恋して、今は恋よりも生きる勇気が欲しいのかな。けらさん

鶴岡へただよい着きて腕交わすアクリル板の向こうとこちら

39席 11pt 桃×0 黄×3 緑×5 Bonus

度会まめたべーたなぎさらさ小泉夜雨民生計以岡桃代


山形県鶴岡市立加茂水族館のことですね。クラゲ種類は世界一でギネスに認定されているとか。
アクリル板は水槽に使われているもので、人とクラゲが交流している様子が読み取れます。加茂水族館は画像で見ると神秘的で美しいのですが、一般的には馴染みが薄くてイメージが湧きづらいのではないでしょうか。倉橋千帆さん

「アクリル板」で水族館を表されたのが素敵だと思いました。少しわかりにくいかも、と思ったのは「腕交わす」です。語順どおり素直に読むと、見に来た客と水槽の中のクラゲ(のふれあい)ですが、この言葉で(長い手を四方に伸ばす)クラゲを表しているのかなとも思いました。岡桃代さん

山形県の鶴岡市の、くらげの展示で有名な加茂水族館ですね。「腕交わす」はちょっとわかりにくいですが、知り合いにあった時の挨拶みたいなものを想像しました。アクリル板は水槽に使われている素材ということを考えると、加茂水族館で知り合いのくらげに会ったのでしょうか?
歌のなかにくらげという言葉が入っていないので、鶴岡からくらげを連想できない場合ちょっと弱いのかなという気もします。桔梗さん

陸にいる乙姫様の日傘へと気合でなっているクラゲ爺

39席 11pt 桃×0 黄×3 緑×5 Bonus

知己凛えだまめ甘酢あんかけ宮嶋いつくamico民生淡海わこ


くすっっと笑わせてもらいました。とてもかわいらしい女性が日傘を差していたら、もしかしたらクラゲ爺???と思ってしまうかもしれないです。
リズム感と最後のオチが心地いい歌ですね。知己凛さん

クラゲ爺、骨があるクラゲですね。
乙姫様が陸にいるということは、浦島太郎についてきたのかも、などと妄想を広げてしまいました。
ユーモラスで楽しいお歌です。ただようさん

ほのぼのとファンタジックなおはなしですね。
語順のせいか、「へと」「気合でなっている」というあたりの言い回しにいまひとつ違和感があるように思いました。
桔梗さん

テーブルの中華くらげと向き合ってこりこりこりと会話する夜

41席 11pt 桃×0 黄×3 緑×4 Bonus

抹茶金魚しま・しましま静ジャック橙田千尋きつね夢見鳥


題詠の難しいところではありますが、「クラゲ」で短歌を書こうとするとき、多くの出詠者の選択肢に「中華くらげ」が浮かぶのではないかと思います。そして「こりこり」という擬音も、同時に脳裏に浮かんでしまう。そういう状況のなかでこの歌を読むと、冒頭で〈テーブルの中華くらげ〉で既視感を感じ、さらに〈こりこりこり〉という擬音が出てきたときに再度既視感を感じてしまう、という、歌にとって非常にもったいないことになるのではないかと思います。完全にこの歌会から離れた文脈でこの歌と出会ったら、たぶんとても素敵な歌だと感じたのではないかなあ、と思いました。(中華くらげネタの歌は他にもいくつかありましたが、この歌は「もったいない代表」だと思いました!)斎藤秀雄さん

「こりこりこりと」の「こり」一つ分だけ、字数合せのようなと思ったんですが、中華くらげを見つめながら食べてて、しかもそのくらげと「会話する」というような気持でいる孤独感とうつむき加減は「こりこりと」では足りなかったんだろうなって気もします。しま・しましまさん

夕食として(外食ではなく自宅で)中華くらげを食べているのでしょう。
「中華くらげと向き合って」とあるので、一読ではひとりで食べているところなのかと思ったのですが、それだと「会話」にはならないと思うので、誰か一緒にいるけれどどちらも話さずに黙々と食べていて、双方が食べている音が静かな食卓で交互に響いているところなのかなと読みました。桔梗さん

あの海に沈んだ君が来てくれたクラゲみたいにふよふよ透けて

42席 10pt 桃×1 黄×0 緑×4 Bonus

抹茶金魚斎藤秀雄えだまめ甘酢あんかけわらび


読みを迷いましたが、海で溺死した恋人が幽霊となって現れたのでしょうか。不穏な雰囲気ですが「来てくれた」「ふよふよ」に緊張感がなくなり、主体はきっと待ち焦がれていたんだろうなと思います。
発句は「あの」ではなく、具体的な景を描いたら面白いかもしれません。倉橋千帆さん

海で亡くなった「君」が霊になって主体の前に現れたのでしょうか。ただ「ふよふよ透けて」というどこかかわいらしい結句からすると、かなしさよりもコミカルさが強調されているような感じがします。桔梗さん

最初はふやけた溺死体の話かと思いましたが、「透けて」とあるので幽霊のような存在として帰ってきたということでしょうか。
何かの物語のようで幻想的で不思議な雰囲気に惹かれました。
クラゲという例えが(幽霊という詠みでいいならば)また素敵だなと思います。
わらびさん

ねぇ海は、くらげが出るからいかないで。震える声に止まる夏の日

43席 9pt 桃×0 黄×2 緑×6 Bonus

抹茶金魚度会セニョール・ベルデ斎藤秀雄静ジャックひの夕雅中牧正太民生


秋の海にはくらげがいるから行かないで、と言っているだけかもしれないんですけど、なんで震える声なのか? 悩む一首です。井筒ふみさん

盆を過ぎた海にはクラゲが多いから行くなと言われた記憶が確かにある。主体に声をかけているのは誰だろう。母親か、友人か、また別の誰かか。「震える声」というからには恐怖の感情が潜むのだろう。その人がクラゲに刺された経験があるからなのか、はたまたクラゲとは別に恐怖の対象があるのか。想像が広がる一首だが、答えが見えない恐怖がこちらにも波及するかのようである。二宮 隼人さん

もしかしたら亡くなっただれか(主体と近しい人)が語りかけた声なのでしょうか。海は怖いと伝えたかったのか。主体にこれから起こるかもしれない海の災難から「くらげが出るから」と守りたかった声なのでしょうか。いずれにしても不思議な感じのする歌だと思いました。木蓮さん

落ちたがる涙に寄り添うクラゲたち後ろ姿をふよふよ揺らす

44席 9pt 桃×0 黄×2 緑×3 Bonus

度会高村七子井筒ふみヱイ甘酢あんかけ


誰か別れがたい人を見送っている場面でしょうか。自分の前から去ってしまう相手の後ろ姿が淚でにじんでいる様子なのかなと思うのですが、クラゲの比喩のせいかどこか漫画っぽい絵で思い浮かべてしまいます。
桔梗さん

「涙に寄り添うクラゲ」というのが小さくて可愛らしい視点で面白いなと思いました。
最初、「後ろ姿」はクラゲたちの後ろ姿だと思って読んでしまい、「クラゲに前後ってあるのかな?」と考えてしまったのですが、前の方の評で目の前の去っていってしまう人の後ろ姿だと納得しました。
その解釈だとさらに絵本のような可愛らしさが増しますね。金子りささん

果てしなく漂ふさだめだからこそ掴みとるやう動くクラゲは

45席 9pt 桃×0 黄×2 緑×2 Bonus

寿々多実果斎藤秀雄甘酢あんかけ西村湯呑


クラゲというと意思がないかのように漂っていることが着目されがちですが、逆にそんなクラゲだからこそ「掴みとるやう動く」のだとするとらえ方がよいと思います。桔梗さん

クラゲが動くときのかぷっかぷっとした動きを「掴みとるやう動く」と描写したところが慧眼だと思いました。
人もクラゲも、自分に掴めぬものをこそ希求するのかもしれません。黒井真砂さん

前菜のクラゲで舌を強く噛みあとはむなしくまわる円卓

46席 8pt 桃×0 黄×4 緑×8 Sorry

抹茶金魚寿々多実果のぅてんき御殿山みなみ久哲井筒ふみ静ジャックえだまめふるさとの春倉橋千帆中牧正太


それは悲しい…円卓を回すということは大人数で来ているということですよね。他の人が料理を食べているのに、自分は食べられないという空しさが伝わってきます。ただようさん

海老チリ、酢豚、麻婆豆腐、点心、スープ、炒飯・・・。目の前を美味しそうな料理がくるくる回る様子を眺めるだけなんてお気の毒ですが、想像すると笑ってしまいそうです。倉橋千帆さん

高級中国料理屋さんに出掛けたときのことでしょうか。もしかしたら自分ひとりで出かけたというよりも、誰かに連れていってもらったのかもしれませんね。舌を噛んでしまってその後の食事がままならなかったのだと読みました。とほほな感じが「むなしくまわる」という部分によくあらわされていると思います。
桔梗さん

中華クラゲと噛んだ時の舌の感触がまたよく似てるんですよね……あのコリっとした感触が。
前菜というところがまた辛いですね。
孤独な(痛みとの)戦いが続くのかと思うと、もう胸が苦しいです。わらびさん

ライトアップされてさびしいくらげたちマモーの脳のかけらのように

47席 7pt 桃×0 黄×1 緑×5 Bonus

抹茶金魚黒井真砂まめたべーた七緒中牧正太金子りさ


マモーと言えばあのアニメーションのマモーでしょうか。脳のかけら、というかマモー自体がクラゲっぽい出で立ちでしたね。ラストシーンのマモーがクラゲに変換されて甦りました。面白いと思いますが、果たしてきちんと読み取れているかは自信ありません(笑)。えだまめさん

複製を繰り返し不死を目論んだマモーのことでしょうか?
詠まれているクラゲは不死といわれるベニクラゲを想像しました。
死なないということは寂しいことなのかもしれませんね。
(ベニクラゲはあくまで生物的寿命が無いという意味での不死ですが)ただようさん

「マモー」は、ルパン三世の劇場版「ルパンVS複製人間」に登場した敵役のことだと思いますが、ちょっとわかる年代が限られるのかなと思ったのですがどうなのでしょう…(たびたび再放送などもされているので観ている人は観ていると思うのですが)。水族館などでライトアップされたくらげを見て、あのお話の中に出てきたマモーの脳を連想したのでしょう。マモーもまたさびしい存在であったのかもしれませんね。
桔梗さん

「絡まってもう終わりだね、クラゲって」育てた愛は冷たく青い

47席 7pt 桃×0 黄×1 緑×5 Bonus

諏訪灯抹茶金魚甘酢あんかけ中牧正太民生岡桃代


あぁもうこんがらかって、どうにもならない感が恋愛にもクラゲにも確かにあるなぁと。ヱイさん

水槽で甘く優しく光ってるクラゲも越えた試練があって

49席 7pt 桃×0 黄×1 緑×1 Bonus

わらび


癒やしを与えてくれる美しい景の上句。下句では言いたいことがうまく纏まっていない気がします。
クラゲにだって乗り越えてきた試練があるということでしょうか。語順を整理して、上句と下句を入れ替えてもいいかもしれません。倉橋千帆さん

クラゲを表現するのに「甘く」っていうところステキだなって思いました。ただ、「あって」と言いさしで終っているところが残念な気がします。しま・しましまさん

クラゲもただ浮かんで光っているだけはないのだ、という風に主体は感じているのでしょう。「甘く優しく」はどちらも同じテイストの言葉のように思うので片方でいいのかなという気がしました。桔梗さん

深すぎる海に生まれて白砂の岸に焦がれるたゆたうクラゲ

50席 5pt 桃×0 黄×0 緑×3 Bonus

大西ひとみ斎藤秀雄


「深」「海」の重い感じと「白砂」の明るい感じの対比があって、それをつなぐ「クラゲ」が心はあかるい浜へ体はくらい深海に、という感じかなって思います。「焦がれる」「たゆたう」とクラゲに掛かることばが並べてあるのがちょっともたっとするかなあと思いました。しま・しましまさん

クラゲの描写というよりはひとの心理の隠喩にも読めます。焦がれるという動作とたゆたうという動作はちょっと合わない気がするので、ひねった接続があっても良かったかなと感じました御殿山みなみさん

クラゲにもきっと夢とかあるんだよ流れに乗ってうまく生きてる

51席 5pt 桃×0 黄×0 緑×2 Bonus

大西ひとみ斎藤秀雄


ミズクラゲの水槽を見て浮かんだ一首なのかも。エアーポンプの上昇に乗って浮かんだりしますから。くらげは自分で動きますけどね。まあ、流れに逆らって泳ぐことはできないのかも、くらげ。宮嶋いつくさん

水族館などでクラゲを見ての率直な感想のようでもあるし、現実がうまくいっていないのかもしれない主体の羨望のようにもとれる。「クラゲにも」と言うのだから、主体にもきっと夢があるのだろう。軽い口調の一首だが、クラゲさえ「流れに乗ってうまく生きてる」ように見えてしまう主体の淋しさも透けている気がする。二宮 隼人さん

以上51


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諏訪灯 夏山栞 抹茶金魚 度会 寿々多実果 高村七子 のぅてんき 黒井真砂 セニョール・ベルデ 御殿山みなみ 知己凛 久哲 大西ひとみ 斎藤秀雄 まめたべーた 芍薬 キール しま・しましま 可奈美 井筒ふみ なぎさらさ 静ジャック 橙田千尋 七緒 シュンイチ 鶴田よめ しちみとう えだまめ ヱイ 甘酢あんかけ 宮嶋いつく ことり きつね 小泉夜雨 ふるさとの春 萩野聡 倉橋千帆 ひの夕雅 あひるだんさー 中牧正太 苔井 茅 金子りさ 街田青々 amico 木蓮 薄荷。 中條茜 ただよう 民生 月丘ナイル 西村湯呑 計以 岡桃代 わらび 夢見鳥 けら 宮本背水 衣未(みみ) 淡海わこ カズト 桔梗

≪ 36代目うたの人38代目 ≫

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