35代目総選挙 開催:2017年07月19日~24日

 

サーバの悲劇を越えてゆく人の巻

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歌題『 雌雄 』

ネジにでも雌雄はあって黙々ときみはきれいなナットを選ぶ

第35代うたの人

首席 64pt 桃×5 黄×17 緑×7 Bonus

せしん知己凛幸香ルナク村田一広寿々多実果シュンイチ可奈美二宮 隼人加治小雨遠木音御殿山みなみ岡桃代侑子ひの夕雅淡海わこえだまめ宮本背水大西ひとみ中牧正太井筒ふみ萩野聡nonたん西村曜桔梗静ジャック須磨蛍CIPHER


オスネジ、メスネジというのを聞いたことがあります。「黙々と」がいいですね。作業所や工場でネジを扱う細やかな作業に集中する、寡黙な青年の姿が浮かびます。シュンイチさん

ネジの雄雌、聞いたことがあります。それを考えると、ネジを回し込む何気ない行為も、違った印象をもってくる気がします。遠木音さん

ネジの雌雄、技術家庭の科目で習った記憶があります。普段はDIY はしないのであまり縁がなく忘れてましたが思い出しました。黙々と綺麗なナットを選ぶ。性能のより良いものを選んでるきみは、知らず知らずのうちに種族保存の本能で選んでるのでは...とDNA の螺旋構造にも思いを馳せました。無機質な作風のなか、秘められてることは深いと思います。えだまめさん

ナット、つまり雌ネジですね。あくまでただの日常的な景として読むか、あるいは隠喩として読むかというのは、それぞれの短歌観もあるかと思いますが、個人的には断然、隠喩的な意味を含むものとして捉えた方がおもしろくなる歌だと感じます。もちろん一義的には日常詠として捉えた上で、その光景を見ながら主体が「きみ」に感じてしまった不穏な雰囲気、黙々ときれいなナットを選ぶという行為に「きみ」の女性観を見ていたのではないか、という風に読みました。もちろん一首には主体の感情は一切書かれていないわけですが、上下を繋ぐ腰の句の「黙々と」というところが、ちょっと意味深長な感じがでていいですね。宮本背水さん

主体は女性、雌ネジを選ぶ「きみ」は男性なのかなとイメージして読みました。
「きれいなナット」を選ぶ男性の手はきれいなんだろうなと連想させ、指の長い手が浮かびました。「黙々と」作業をするその手を見つめる主体の女性的な気持ちを感じました。大西ひとみさん

きれいなナットを黙々と選ぶ…その行為にどんな意味があるのか分からないけど、不思議に惹かれます。nonたんさん

主体や「きみ」がお仕事がそういうお仕事(工場系)の方なのでしょうか。ネジやナットというモノにも雌雄(形状上の区別として)がありますが、そんなものであっても「きれい」という基準は存在し、選ばれてゆく。選ぶきみの無慈悲さのようなところに何となく複雑な思いを抱いていそうな主体の姿を思い浮かべました。
桔梗さん

たくさんの評をありがとうございました。天田銀河さん

夏休みじいちゃんみたいなばあちゃんと生きる分だけ野菜をもいだ

2席 57pt 桃×4 黄×16 緑×8 Bonus

知己凛ルナク寿々多実果衣未(みみ)WPPシュンイチ可奈美加治小雨遠木音えんどうけいこ太田宣子西村湯呑けら侑子ひの夕雅淡海わこ久哲森下裕隆中牧正太みやこどり萩野聡西村曜民生桔梗静ジャック須磨蛍CIPHER


読むひとのこころを優しく包み込んでくれるようなあたたかな歌ですね。年を重ねることも素晴らしいと思わせてくれます。下の句で「野菜」をただの食べ物としてだけでなく私たちと同じ生き物として見ている視線もとても好きです。ルナクさん

「じいちゃんみたいなばあちゃん」がいいです。夏休み、野菜、もぐといった言葉の選択もよく、まさに夏の生命力を感じさせます。シュンイチさん

いますよね、じいちゃんみたいなばあちゃん。幼い口調で語られる一首に、この修飾詞がおおらかさを感じさせてくれます。そのおおらかさが下の句の「生きる分だけ野菜をもいだ」に繋がっていって、作物を手にするということ、食べるということ、生きるということへ主体が知った感動を伝えてくれているようです。ただ一方で子どもの口を借りて書かれた一首の造りに、言葉の流れとしての理知や格式に欠ける部分があると感じます。あくまで私個人の好みですが、この歌に限らず、幼い子どもに仮託した一首を読むときにそうした部分が気になります。宮本背水さん

「じいちゃんみたいなばあちゃん」と一緒に野菜をもいでいたのは、おそらく主体の身体つきにまだ男女らしさが出てこない年齢の思い出ではないかと思います。男女の差、年齢の差などは本来、生命には関係ないのだと思わせてくれるような力強い歌。「生きる分だけ」という表現がとくに秀逸だと感じます。えんどうけいこさん

じいちゃんみたいなばあちゃん、たまに見かけます。お年寄りって、雌雄を超えつつある存在なのでしょうか。雌雄ではなく一つの「いのち」となりつつあるばあちゃんと、生きる分だけの野菜をもぐというのが素敵です。遠木音さん


とてもよい歌だと感じました。特に下の句が主体とばあちゃんの、感謝の気持ちを持ちながら誠実に生きている様子をよく表していると思います。ただ題の使い方という点では少し弱いように感じました。


かざなぎりんさん

お題が「雌雄」だったので、ほかに比べると、ちょっと弱いかなあと思って選ばなかったのですが(ごめんなさい)、お歌としては好きです。とくに下の句がいいです。「生きる分だけ」「もいだ」にたくましい生命力を感じました。岡桃代さん

主体は「夏休み」だから手伝いをしているのでしょうか。「じいちゃんみたいなばあちゃん」は、女性らしさが抜けておじいさん(年老いた男性)に似ているという意味なのか、それとも似たもの夫婦で(配偶者としての)おじいさんに似ているのかはわかりませんが、いずれにしろ年老いても農作業をしているようなしっかりとした「ばあちゃん」なのでしょう。「生きる分だけ」野菜をもぐというのは主体が考えた言葉というよりは、その「ばあちゃん」からの教えのようなものなのかなと思いました。
子供目線の歌の素直さがこの場合は成功しているように思います。
桔梗さん

歌題『雌雄』で「じいちゃんみたいなばあちゃん」の歌というのは、歌題を活かしきれているかは別として、とてもユニークに感じました。下句が、抜群にいいです。「生きる分だけ」というのが特に。「夏休み」からはじまって「野菜をもいだ」とおわる構成も、一読したときはやや拙いかとおもいましたが、そのたどたどしさが、子どもの夏休みの日記の一文をおもわせて、この歌をよりよく見せているのかなあ、とも。その日記調のなかで、やはり「生きる分だけ」が光ります。つつましく、しかし力強く生きることの尊さが伝わってきます。西村曜さん

ありがとうありがとうございました!えだまめさん

あの声は誰だつたらう わたくしへ虹に雌雄があると教へて

3席 55pt 桃×4 黄×15 緑×8 Bonus

せしん知己凛ルナクWPPあひるだんさー加治小雨遠木音木蓮御殿山みなみえんどうけいこ岡桃代太田宣子西村湯呑侑子ひの夕雅淡海わこ宮本背水かざなぎりん七緒久哲森下裕隆中牧正太萩野聡nonたん西村曜静ジャック須磨蛍


『虹の雌雄』というモチーフが白眉ですね。とても詩情にあふれているアイテムだと感じます。(調べてみたら内側と外側で雌雄になるのですね。なるほど)その詩情あるアイテムを教えてくれたひと、その声。ポエジーの立て方が非常に丁寧だな、と感じます。宮本背水さん

昔、親御さんなのか先生なのかあるいは恋人か友人なのか、虹に雌雄があることを主体に教えた人がいたのですね。誰だったかは思い出せないけれども、そのことだけは心に残っている。シチュエーションはの記憶はおぼろげでも、ほんの些細な一言が鮮明で、ずっと忘れずにいることってありますね。教えた方はすっかり忘れてしまっているかもしれません。もしかするともう会えない人なのかも。「虹」というアイテム、「あの人」とせずに「あの声」と表現したところ、二句目と三句目の間の一字空けも効いていて、情趣を感じる一首です。えんどうけいこさん


「誰」「雌」「雄」と似た漢字が並ぶところが見た目にも美しく、また響きもきれいでよい歌だなあと思いました。
虹は夏の季語ときいたことがあります。どこか異世界とつながっているような、そしてほのかに懐かしさと寂しさの漂うところが、夏という季節によく沿っているように思いました。かざなぎりんさん

メス猫がもらわれてゆく玄関で「またな」みたいに鳴いたオス猫

4席 46pt 桃×3 黄×13 緑×7 Bonus

せしん知己凛幸香ルナク村田一広寿々多実果衣未(みみ)WPP可奈美遠木音木蓮西村湯呑けら侑子ひの夕雅えだまめ大西ひとみ井筒ふみ民生といじま静ジャックCIPHER


さみしいはずの場面を「またな」と軽やかに詠みながらもメス猫とオス猫の心情や様子が目に浮かぶように描かれていると感じました。幸香さん

ちょっと淋しいけれど幸せを祈る気持ちを、オス猫が鳴いたことに込めているのだと感じました。優しい気持ちになりました。衣未(みみ)さん

詠みたい気持ちはわかりますが、猫をそのまま題材にするとどうしてもありきたりな歌になってしまうのでは。「またなみたいに鳴く」というのも作者の思い込みでしかないわけだし。せめてそのオス猫の客観的な描写に終始したほうがいいと思いました。少し厳しい言葉ですみません。シュンイチさん

せつなくて、かわいい。前のひとも書いているように、オス猫が鳴いたというだけでなく、そこに主体自身の祈りを仮託した光景なのだと読みました。ちょっとあっさりとしすぎているような気もしましたが、きれいなシーンの切り取りと感じます。宮本背水さん

切なくなりました。オス猫がそう言っているように感じるのは、メス猫のこれからを案じる気持ちからでしょうね。遠木音さん

「またな」というところから、わりとあっさりとした短い鳴き声なのかなと思いました。なのでそれほど切なさや寂しさは感じませんでした。なんというか、それぞれの場所でそれぞれの生き方をしていくのかなと。もし切なさがあるとすれば、その「またな」はきっと叶わないのだろうという予感化と思います。天田銀河さん

「またな」というところから、わりとあっさりとした短い鳴き声なのかなと思いました。なのでそれほど切なさや寂しさは感じませんでした。なんというか、それぞれの場所でそれぞれの生き方をしていくのかなと。もし切なさがあるとすれば、その「またな」はきっと叶わないのだろうという予感化と思います。天田銀河さん

投稿二重になってしまい申し訳ありませんでした。天田銀河さん

オス猫はただ単に鳴いただけかもしれなくて、もらわれてゆく(人間の都合)に、反応した人間の勝手な思い込みなのかもしれません。若しくは、猫は全てお見通しなのか。
どちらにしても、その場の一瞬の空気がうまく表現されているなと思いました。大西ひとみさん

どちらも保護猫で、そのうちのメス猫の方が先に貰い手が決まった、というようなところなのでしょうか。玄関で見送るオス猫のクールな感じが元野良っぽい印象です。桔梗さん

狛犬の雌雄を論ず わたくしを女として見たことなきひとと

5席 45pt 桃×2 黄×15 緑×7 Bonus

せしん幸香ルナク衣未(みみ)WPP可奈美御殿山みなみえんどうけいこ岡桃代西村湯呑ひの夕雅かざなぎりん大西ひとみ久哲森下裕隆中牧正太井筒ふみ萩野聡nonたん民生桔梗といじま静ジャックCIPHER


世の中に狛犬マニアと呼ばれるひとがいて、その雌雄のありかたは見どころのひとつだと聞きます。この歌の場合、主体は女性として見られたがっていると取っていいでしょうか。やや恨み節の入っているように感じられる歌の内容ですが、とはいえ、それはそれでもしかしたら楽しい関係ではあるのかもしれませんね。狛犬の雌雄からわたくしの女性性へと持っていく流れがうまいなぁ、と感じます。宮本背水さん

ある専門的なテーマを異性の仲間と真面目に論じている、その主体を相手は女性として見ることがない、という、何かのプロの、あるいはプロを目指して頑張っている女性の葛藤をみごとに詠んでいると思いました。「狛犬」もいいと思いました。岡桃代さん

狛犬にも雌雄があるのですね。それを熱心に語る人、わたしのことは女として見ないくせに…という心のつぶやきが聞こえる気がします。でも、相手のそういうところも許してしまうのでしょうね。遠木音さん

狛犬には諸説あるようですし、またモノによって実際に雌雄をわけて作られているところもあり、それだけにいろいろ論じていて楽しい題材でもあるのでしょうね。「女として見たことなきひと」が、性別関わりなくそういった話をする仲間というのは楽しいという意味なのか、それとも女としても見て欲しいと思っている相手なのだという意味なのか、どちらにも取れそうですが、主体のなかでも揺れ動いているような問題なのかなという感じもします。桔梗さん

狛犬の雌雄の話で、男女を意識する主体に、女性的な深い洞察力を感じました。大西ひとみさん

ホッホーと夫婦喧嘩の最中につがいの鳩が相づちを打つ

6席 43pt 桃×2 黄×14 緑×4 Bonus

幸香ルナク寿々多実果衣未(みみ)WPP遠木音木蓮けらひの夕雅えだまめ天田銀河七緒森下裕隆中牧正太みやこどり井筒ふみ民生といじまCIPHER


犬も食わないという夫婦喧嘩に鳩の相槌。しかもつがい。喧嘩の微妙な間や空気感が上手く表現されていると思いました。ポッポじゃなくホッホーなところも絶妙だと思います。幸香さん

これは面白い。鳩が実際に夫婦喧嘩の内容を聞き取ったりはしないのでしょうが、ホッホーという音といい首を傾げる鳥独特の仕草といい、いかにもあり得そうです。日常の場面を巧みに切り取っていて素敵な歌と思います。WPPさん

今回のテーマ「雌雄」を「つがい」で詠まれたのだと思いました。鳩なので、雄とか雌のような言葉も使えるのにそれをしなかったのは、「夫婦喧嘩」との対照性を出すためかと推察します。ユーモラスな、どこかシニカルな雰囲気が感じられました。岡桃代さん

この光景を思い浮かべると、クスッと笑ってしまいます。険悪な空気で冷たい言葉が交わされているであろう部屋に「ホッホー」。この夫婦も肩の力が抜けて仲直りするのでは、と想像しました。遠木音さん

鳩のいる、公園かあるいは駅前などで夫婦喧嘩しているのでしょう(主体がそこに含まれているのか、それとも傍観者なのかはわかりませんが)。その喧嘩に鳩が相槌を打つ(ように見えた)というのはユニークだと思うのですが、鳩がその場に二羽いたとしてもそれがつがい(雌雄)かどうかを見分けるのはなかなか難しいように思いました。
桔梗さん

きみのこと雄と見れないわたくしの雌はゆっくり仮眠している

7席 42pt 桃×5 黄×6 緑×7 Bonus

せしん知己凛幸香ルナクWPPあひるだんさー加治小雨遠木音木蓮ひの夕雅淡海わこ中牧正太萩野聡民生桔梗といじまCIPHER


仮眠という表現に無限に広がる可能性を感じました。わたしの雌はいつかゆっくり目を覚ましきみを雄として見始めるといいなと願いたくなります。幸香さん

3句からの流れが特にいいと思いました。仮眠しているということは、眠りきっていない。なにかのきっかけで目覚めるかもしれないことを含ませていて、雄にきみが見えた瞬間にきっと目覚めてしまうのではないでしょうか。知己凛さん

圧倒的に胸に迫ってきました。立場が逆だったとしても十分に通じる歌であると思います。相手を雄として見ることは、直観の要素も大きいと思います。相手のことをこれからも決して雄としては見ないであろう、ある種の冷たさも感じる歌でした。あひるだんさーさん

「きみ」との間にまだ距離がある。けれど、「雄」と「雌」の表現から男女の意識はあるのでしょう。しかも「仮眠」だからいつか目覚める可能性は充分にある。「わたくしの雌」という本能的な表現にどきりとさせられる歌でした。倖さん

このお二人の関係は…と考えてしまいました。「君」のことを雄と見る女性が現れたら、などこの二人に起こるこれからを想像してしまいます。それとも、以前は雄に見えていたのでしょうか。人間関係に思いを巡らせております。遠木音さん

仮眠という表現がうまいなと思いました。いつでも目覚めることができる仮眠を使うことで距離感が表現されているなと感じました。淡海わこさん

主体の中の女、メスはいつか目覚めるのだと思います。「ゆっくり仮眠」する、という言葉に惹かれました。お二人の関係は、あまり激しくはなく、静かに築かれていくのではないかな。と。愛情を感じる歌だと感じました。えだまめさん

いまのところは「きみ」は恋愛対象にはならないということでしょうか。もしかしたらそのうちに変わるかもしれない…という意味合いを含んで「仮眠」なのかなというところと、「わたくしの雌」に対して意識的なところがおもしろいと思いました。ただ、個人的に「ゆっくり」と「仮眠」がちょっと噛み合ってないような感じなので(「仮眠」だと一時的なニュアンスなので)、そこが気になりました。
桔梗さん

雌も雄もおなじつくりを持つことのかなしみを抱く告別の日は

8席 40pt 桃×3 黄×10 緑×5 Bonus

ルナク寿々多実果可奈美木蓮御殿山みなみえんどうけいこ岡桃代ひの夕雅宮本背水七緒中牧正太みやこどり井筒ふみ民生といじま須磨蛍CIPHER


漢字のつくり(旁)と人つくり(造り)を結び付けた比喩が秀逸だと思いましたし、愛した人との死別のかなしみを男女の違いなどなくなってしまう遺骨に見出した洞察力にも関心しました。真実の愛って性別など超越した存在なのかも・・・ちょっと脱線しましたが、そんな事まで考えさせられる素晴らしい歌だと思いました。ルナクさん

漢字のつくり、そして人のつくり。そのふたつを結びつけることの技巧性が「かなしみを抱く」という下の句へ続けられることによって大きく感情を揺さぶる一首となっていますね。情報量の多さが読みを阻害せずに、切々とした挽歌として迫ってきました。宮本背水さん

隹の共通点もさることながら、肉体的な雌雄のおなじつくりとはどのレベルで同じつくりなのでしょう。やはり骨格と読むべきで、そうなってくると女/男の対比より雌/雄の対比がより差し迫ってくるようで心が動きます御殿山みなみさん

雄、雌、とヒヨコを分かちふわふわの命の行方を決めていく人

9席 40pt 桃×1 黄×15 緑×2 Bonus

幸香村田一広あひるだんさー二宮 隼人木蓮えんどうけいこ侑子淡海わこえだまめ宮本背水かざなぎりん久哲萩野聡民生静ジャック須磨蛍CIPHER


ひよこのオスって処分されてしまうんですね。知らなかったです。それを踏まえて読むと、どちらも素人目にはただのふわふわなのに…と悲しい気持ちになります。でも、この歌ではそういった感傷はなく、さらつっとした読み口で、鑑定士のあくまでも淡々と作業をこなす様を描いています。そこがとてもいいし、また命の行方という言葉が重みもきちんともっているので、バランスも素晴らしいと思います。せしんさん

初生雛雌雄判別士のうたですが、三句目の「ふわふわの」が雛の状態とこれからの雛の命の行方のダブルミーニングになっていて非常に巧いですね。かわいらしい音のイメージとは違って、シビアな内容をうたっていることも技巧的に感じます。過度な感情を持ち込まずに淡々と描くリアリズムがいいですね。宮本背水さん

「雄、雌、と」のリズミカルな感じ、ふわふわのヒヨコのイメージと淡々とした語りで、その作業によって生命を左右しているという重い内容を伝えています。作者の感情が入っていないため、読者に考えさせる余地を与えているように感じます。えんどうけいこさん

何度か全ての歌を読んで一番心に残る歌でした。
上手く言えないのですが、ふわふわのひよこのかわいらしさと雄雌と生命の選別をする感情の入らない行為と淡々と詠む作者が相まってこの歌の魅力となっていると感じました。木蓮さん

ふわふわの命の行方の言葉のチョイスにやられました。
微笑ましい場面ではないはずなのに微笑んでしまうような、ミスマッチさに惹かれました。淡海わこさん

ふわふわという表現にとてつもない悲しさを感じました。普通この表現から悲しみを感じることはあまりないと思うのですが、そのギャップがこの歌の魅力だと思います。淡々と描写されているところも歌に合っていてよいと感じました。
かざなぎりんさん

雷鳴のはやさで外すブラホックひとりぼっちに雌も雄もない

10席 36pt 桃×3 黄×8 緑×6 Bonus

せしん知己凛幸香御殿山みなみえんどうけいこ岡桃代けらひの夕雅えだまめかざなぎりん久哲森下裕隆中牧正太西村曜民生静ジャックCIPHER


勢いがあって上の句がいいなぁと思いました。苛立ちなのか寂しさなのか、一人で部屋に帰ったときのため息みたいなものを感じました。加治小雨さん

一般的にブラジャーは雌性をもち、なおかつ孤独であっては誰にも見られないものです。主体の孤独はきっと自身の雌性に紐付いているものなのでしょう。だからこそそこから早く離れたいのだと読みました。ホックを外すことは窮屈さの緩和を感じることもできます御殿山みなみさん

①疲れて帰った独り暮らしの部屋で、取るものも取り敢えずまずブラをはずすという、経験者にとっては頗る共感性の高いシーン。ひとりぼっちであるがゆえ、ここにプライオリティをおいてしまうことにかさついたものを主体が感じているのが物悲しくていい。
②雷鳴のはやさではずしたのは、ひょっとしてゆきずりの相手か。二人でいても、ひとりぼっち「同士」。それを雌も雄もないと断言するのは、絶叫するかのように「サビシイ」と訴えているように感じる。雌雄として体を重ねたとしても、それはたまたま孤独だったからという渇いた言い訳が見え隠れするのが妙に色っぽい。

初見、②で読み取りました。①はじわじわと。これを断定できるシーン作りになっていないとぶったぎることは容易いですが、私は敢えて、この歌の根底にある「孤独」だけは評価したいです。題が「雌雄」であることから、獣臭さが漂っていてほしいという願望もこめて。ひの夕雅さん

きれいな歌。うまい。中牧正太さん

主体は一人暮らしの女性で、夜、仕事を終えて帰宅したところなのでしょうか。「雷鳴のはやさで外すブラホック」がコミカルなようでもあるけれど、ちょっとしたさびしさも感じるのは「ひとりぼっち」という言葉のせいなのかも。
桔梗さん

いろいろとあって選んだ色でしょう孔雀雌雄はそれぞれに凛

11席 32pt 桃×1 黄×11 緑×7 Bonus

ルナク村田一広あひるだんさー遠木音御殿山みなみえんどうけいこ岡桃代けら侑子淡海わこ天田銀河宮本背水大西ひとみ七緒久哲森下裕隆みやこどり須磨蛍CIPHER


孔雀の羽根を論じる場合、どうしても派手な雄のものに目がいってしまいがちですが、そこを敢えて「雌雄はそれぞれに凛」と言い切ってみせたところが素晴らしいですね。深読みかもしれませんが、どこかジェンダー的な視線を持ったうたにも思えます。固定観念にとらわれず、その孔雀の生き様を肯定的に捉える姿があざやかな発見に繋がっているように感じられます。宮本背水さん

孔雀の雄と雌の姿の違いは皆知っていますが、それを、孔雀の祖先がみずから選んだ、と私は読んだのですが(神様が、とも読めますが)、そこが面白いと思いました。最後の「それぞれに凛」が格好いいです。岡桃代さん

「それぞれに凛」いいですね。
雌雄、男女やそれにともなうさまざまな属性は、基本的には自分であらかじめ選べるものではないのですが、それを敢えて「いろいろとあって選んだ色」なんだと自分自身や誰かに言い聞かせているような語り口です。
けっして主張しすぎない、しなやかな思想を感じます。森下裕隆さん

花火にも雌雄があるらし満天の恋に見惚れるゆびさきからむ

12席 31pt 桃×2 黄×8 緑×9 Bonus

幸香ルナク衣未(みみ)WPP二宮 隼人木蓮えんどうけいこ岡桃代太田宣子侑子えだまめ宮本背水かざなぎりん森下裕隆みやこどりnonたん西村曜民生静ジャック


花火に雌雄があるなら花火大会は求愛のための一夜だろうか。空いっぱいの恋の花を主体は誰と見上げているのか。恋人か、恋人ではないが好きな相手か。互いに意識し始めている幼なじみ同士と読むと甘酸っぱい。「花火にも男と女があるんだって」などと軽口をたたきながら見ているうちにその美しさに圧倒され、ふと触れた指が自然と絡むに至って自分たちも男と女であることに気づく。瑞々しい一瞬を切り取っていて想像が広がる。好きな歌である。二宮 隼人さん

これはいろっぽいうたですね。切り取ったシーンのうつくしさもさることながら、二句切れの文語体のなめらかさが一首の雰囲気を盛り立てて、いいですね。
(それと前評の方の鑑賞がとても素敵ですね。とてもいい読みだと思いました)
宮本背水さん

「見惚れる」「ゆびさきからむ」で充分に気持ちが伝わってくるので、「恋」とわざわざ言わなくてもよかったのではないかと思いました。場面設定はとても好きなのですが、言葉を詰め込みすぎている感じを受けます。えんどうけいこさん

花火にも雌雄がある、というところから花火大会を「満天の恋」とする表現がとてもみずみずしいです。夜空いっぱいの打ち上げ花火の情景から、結句でふたりの指先までフォーカスしていく繊細な視点移動も巧みだと思いました。七緒さん

名詞にも性のあること説いていしロシア語教師の声ふかき午後

13席 31pt 桃×0 黄×13 緑×8 Bonus

せしん村田一広寿々多実果WPP遠木音えんどうけいこ太田宣子けら侑子ひの夕雅宮本背水かざなぎりん大西ひとみ七緒森下裕隆中牧正太井筒ふみ桔梗といじま静ジャック須磨蛍


名詞に性がある言語はロシア語だけではないと思うのですが、ロシア語を選んだ、「はっとさせる何か」があるともっとよかったのかなぁって思いました。知己凛さん

結句の「声ふかき午後」がいいですね。名詞の性とロシア語教師という抒情を一気に引き受けて、景として大きな広がりを見せる深い句だと感じます。それを聞いた主体の感情を直截的に示さず、読者に任せる造りが巧みですね。宮本背水さん

「声ふかき」という表現が、フランス語でもイタリア語でもないロシア語にマッチしているように感じます。大学の授業でしょうか、生徒たちはそれほど活発ではない、なんとなく気だるげな教室の様子を想像しました。えんどうけいこさん

性に対して敏感な年頃に、異国の言葉に性があると授業を受けている学生をイメージしました。ロシア語教師がどんな声でロシア語を話すのか、聞いてみたいです。大西ひとみさん

名詞にも性があるのは(男性名詞や女性名詞がある)、ロシア語だけに限らず、フランス語やイタリア語などいろいろあると思うのですが、日本人からしたときにロシア語のわからなさ加減、エキセントリックな感じと「声ふかき」という表現がよく合っていると思いました。桔梗さん

星々の雌雄鑑定師のボクも見たことないよ地球のチンコ

14席 30pt 桃×1 黄×10 緑×1 Bonus

寿々多実果WPPシュンイチ二宮 隼人けら天田銀河大西ひとみ森下裕隆中牧正太みやこどり萩野聡CIPHER


想像上の職業と結句のインパクト。好きです。星の雌雄の見分けかた知りたいです。チンコがついてるものなんでしょか。寿々多実果さん

チンコに目が行きますが上手いのはどっちかというと上句の入り方ですよね。これで歌にしてやるぞ!という強い決意を感じます。こういうふっきれた感じは好きです。シュンイチさん

なかなか評に困るうたです(汗) 『星々の雌雄鑑定師』という独特でファンタジックな世界観から入り、まさかの結句…。一読して思わず立ち止まってしまったうたではあります。強烈なオチでした。ほかにもいろんなパターンの結句があったはずのなかで、敢えてこのかたちを選んだことはすごく評価したいです。その一方で、チンコの衝撃でうたのなにもかもがすっ飛んでしまった感じもして…うーん、難しいです。他の方がどういう受け止め方をしているのか気になる歌ですね。宮本背水さん

今回の題の使い方が一番個性的で、面白みを感じました。「見えない」のか「見せていない」だけなのか…そのあたりが胎児みたいで、ひょっとして宇宙という胎内にある生命体としての地球を詠まれたのかなとも思いました。天田銀河さん

星の雌雄鑑定師と言う職業に惹かれる歌ですが、インパクトの強い結句に全てもっていかれます。これはやはり詠み人の意図するところなんでしょうね。
個人的には地球は女性のイメージです。ラテン語のテラは女性名詞だし、月を産んだのから、女性だと思います。
あと、助詞の「の」が3回でてくるのが気になり、もしかしてこれは小さな男の子の一言なのでは?と思って読んでみると「ボク」がカタカナな事も、全てが納得できるお歌となりました。大西ひとみさん

何を以て鑑定をしているのかはわかりませんが、生殖器を判別材料としていて「見たことない」というのであれば、地球は雄ではないのでしょうね。「母なる地球」というくらいですし。桔梗さん

皆さま。評ありがとうございます。好評で嬉しいです。
さて、天然の構造物ではチンコとおぼしきモノは見当たりませんが
割れ目は(自主規制) でたぶん。地球はどっちでしょうね^^久哲さん

枯れてゆくものとは知らずサボテンに女性の名前をつけてしまった

15席 29pt 桃×2 黄×7 緑×6 Bonus

せしん知己凛ルナクシュンイチ加治小雨太田宣子天田銀河大西ひとみ中牧正太萩野聡西村曜桔梗静ジャック須磨蛍CIPHER


これは女性の美しさは枯れることがないというある種の観念が内包されているのでしょうか。美しい花にはトゲもありますが、サボテンにはトゲしかありませんね。どこか屈折した歌だと思いました。シュンイチさん

サボテンを枯れさせてしまうほどの無神経?なひとがおのれの無神経さに気づく局面としておもしろいと思いました。太田宣子さん

サボテンにつけたのは、好きな女性の名だったのでしょうか。枯れてしまったサボテンを前に落胆している姿が浮かびます。遠木音さん

名前をつけることで、物(植物も)が擬人化され、愛着が湧いたり、一気に現実味を帯びる事があります。
「枯れてゆく」に、今まさに枯れてゆく過程を想像させて、何とも言えない寂寥感があり、もの寂しさを感じました。大西ひとみさん

サボテンは比較的強いとはいうものの、植物なのだからいつか枯れるのは必然と思うので「枯れてゆくものとは知らず」というのはちょっとどうかと思いましたが、思ったよりもあっさりと枯れてしまったのかもしれませんね。うっかり名前をつけて、愛着を持ってしまった故のかなしみを感じます。
ただ「女性の名前をつけてしまった」がちょっと主語が大きいし、じゃあ男性だったら枯れてもいいのか?という感じがしなくもないので、もうすこし対象をしぼった方が(「きみ」等)よいかなと思いました。
桔梗さん

雌雄の関連性がいまいちピンときませんでした。nonたんさん

雌雄なき天使に産まれ損なひて自涜じとくののちのあおぞら深し

16席 27pt 桃×2 黄×6 緑×6 Bonus

せしん寿々多実果WPPあひるだんさー御殿山みなみ岡桃代西村湯呑けら天田銀河宮本背水七緒中牧正太nonたん桔梗


「自涜ののちのあおぞら」には、行為によって得られるすがすがしさとうしろめたさの相反する気持ちが表れているように思います。「産まれ損なひ」と書かれていますが、実際に主体(筆者)が性別のない天使に産まれることを望んでいるのかなぁ、そうではないよなぁと感じます。寿々多実果さん

うたがおおきくていいですね。天使に産まれ損なひて自涜、という壮大な物語から個人へひゅーんと降りてくる感覚がすてきです。そこからさらにあおぞらという巨大な空間へと帰っていく構成がおもしろいです。一点、些細な漏れでしょうが「あおぞら」は「あをぞら」かと思います。宮本背水さん

「あおぞら」の表記が惜しいです。太田宣子さん

永遠に埋めることのできない雌雄の違いを持って人として産まれたこと、あおぞらは切なく、悲しく、美しいと思いました。けらさん

個人的に「産まれ損なひ」の主語が何なのか少々戸惑ってしまいました。「生まれ損なひ」だったらすんなりと読み進めたかもしれません。ひの夕雅さん

背徳の念と青空を対比させていて面白いと思います。
天使のイメージは人それぞれ違うと思いますが、私は堕天使ルシファーをイメージして読みました。美青年で表現されるミカエルや、子供のような天使、女性をイメージさせる天使もいますので、読む人によって捉え方の変わる歌なのかなと思いました。大西ひとみさん

最後の「あおぞら深し」が胸に響きました。このお歌は私の中では2とおりの解釈があって、「天使」が主体自身なのか、主体に宿った命なのか、ということですが、どちらであっても個人の力ではどうにもならないことであり、自然の摂理や神の力の前では無力な人間というものを感じました。岡桃代さん

今回、いろんなものに雌雄があることを知れて面白かったですが、逆に雌雄が無いことについて触れている歌が意外と少なかったなと思います。その中で、雌と雄の対比ではなく、「天使」と「自涜」という雌雄の有無を対比させているのがとても印象的でした。「産まれ損なひて」が、罪悪感と背徳感の表現として突き刺さります。青空というのもまたうしろめたさが強いですね。けれど同時に、そんな人間の獣性をどこか認めているような潔さがあって、力強い歌だと思いました。七緒さん

どこか不完全な人間として生まれてしまったことに対する忸怩たる思いみたいなものがあるのでしょうか。それでもどこか抗おうとしているような背徳的な感じが好きです。かな表記は「あお」→「あを」ですね。
桔梗さん

うつくしき雌雄モザイクアゲハチョウ不完全とも完全とも見え

17席 21pt 桃×0 黄×8 緑×2 Bonus

知己凛村田一広衣未(みみ)WPP遠木音えんどうけいこ岡桃代かざなぎりん大西ひとみ中牧正太


雌雄モザイクアゲハチョウ、調べてみると、左右非対称の模様や色の微妙な違いがあり興味深い蝶でした。しかし、生殖能力はない場合が多いようで、その代限りのものになるようです。
生命体として不完全で、デザインも歪な蝶を完全とも見える、というのはちょっとよくわからないな、と思いました。せしんさん

不完全を愛する、日本的な美学のある歌と思います。完璧とは言いかえれば予測可能であり代替可能である気がする。時間や自然や人生を私たちがかけがえなく思うのはその唯一性、一回性にあるのだなあと、そんなことを思いました。非常に共感します。WPPさん

それぞれの感性によるのでしょうが、個人的には雌雄モザイクの昆虫に対して美を感じます。一体のからだに雌雄の両性を持っているということ、それはたしかに不完全にも完全にも思えますね。それを初句「うつくしき」と言い切ることに好感を持ちます。全体として実感をやや直截すぎる形でうたっているようにも感じてしまいましたが、言いさしとなる結句がおもしろく余情ある読後感を呼んでいるように思いました。宮本背水さん

最初読んだときに、すぐ「きれいだな」と思いました。下の句につながる音の響きもよく、すなおな描写でありながら、対象が複雑で、そのバランスが絶妙だと感じました。岡桃代さん

「雌雄モザイクアゲハチョウ」のリズム感が印象的でした。結句をあえて整えていないところに不完全さも現れていると思いました。かざなぎりんさん

芸術を解する人間にとっては完全完璧な芸術ですが、チョウにとっては子孫を残せないわけですから不完全と言うことでしょう。「うつくしき」から始まり、不完全と完全を対比させることで、結句の「完全」がより際立つ流れがいいなと思いました。切り口の面白さを感じました。大西ひとみさん

遺伝子異常などにより半分ずつ違う性別の体を持つ蝶のことをいうようですね。雌雄同体の生き物とは違う意味合いでふたつの性を持つ個体な訳ですが、生物としては不完全であるれれど、うつくしさとしては完全であるように主体には見えたのでしょうか。桔梗さん

愛の名の陽射しを枝に求め合い雌雄異株たるヒトもまた樹々

18席 20pt 桃×1 黄×5 緑×3 Bonus

せしんWPP太田宣子えだまめ宮本背水七緒中牧正太民生CIPHER


比喩性が絡み合っているのと、雌雄異株という単語の親和度の低さからぱっと見でちょっと難解な一首になっていますね。歌意としては「愛」を「陽射し」に例え、それを受けての「ヒト」を「樹々」になぞらえているものですが、その言葉の使い方が異化を生んでいて、たとえば山中智恵子を思わせるような不思議な韻律・空間の拡がりを見せているようにも感じらます。個人的には、こうしたわかりやすさだけを求めていない一首を好ましく思います。宮本背水さん

人を樹木にたとえたところがいいと思いました。第五句が好きです。「雌雄異株」という視点も、言われてみればそうだなあと納得しました。岡桃代さん

ドーナツ屋の獅子の雌雄を巡っては来店のたび喧嘩している

19席 19pt 桃×0 黄×7 緑×4 Bonus

村田一広WPPあひるだんさー二宮 隼人御殿山みなみ西村湯呑宮本背水中牧正太nonたん静ジャックCIPHER


ポンデライオンのことでしょうか。たしかにあのキャラクターは雌雄が不明ですね(たてがみのポンは取れてしまうし笑)それを巡って『来店のたび喧嘩している』というのだから、お決まりのじゃれあいなのでしょう。ふたりの仲のよさを少しひねた形で描き、平和な日常のワンシーンをうまく切り取られていると思います。日常的なだけに、うたの人のような『一首を選ぶ』という場ではもしかしたら目立ちにくい歌かもしれませんが、読むほどに味のある作品に感じました。宮本背水さん

微笑ましいやり取りが浮かぶ歌でした。来店のたびに繰り返される言葉の応酬。それはふたりのー仲の良さに他ならず、常日頃の様子まで想像できるようでした。「喧嘩している」のに可愛らしさが際立つ歌と思います。倖さん

さり気に河野裕子さんの名言「短歌はドーナツ」にも掛かっていますね。しかし、僕は抜くのなら『ドーナツ屋』を抜いてポンデライオンとはっきり使った方が良いように思います。それで、ミスドに来店は読めますので。久哲さん

ミスドのポンデリングのキャラクタ・ポンデライオンの性別について、いつも特定の誰かと喧嘩になるのでしょう。とはいいつつも、いつも一緒に出かけているようですし、結局のところは仲のよい相手なのでしょうね。
ただ「来店」というのは店側からの立場の言葉だと思うので、自分たちが店に出かける時の言葉としてはちょっと違和感があるかなという気がしました(あと「巡っては」の「は」の使い方が)。桔梗さん

他の方もおっしゃっていますが、ここはすなおに「ポンデライオン」とキャラクター名を出してしまってよいのでは、と。それなりに知名度のあるキャラクターだとおもいますし、回りくどい言い方をしなくてもよかった気がします。歌題『雌雄』がかたい言葉なので、そのかたさと合わせるために、わざと「ドーナツ屋の獅子」と表されたのかとはおもいますが……。西村曜さん

理科できいた雄しべと雌しべの出会いって神秘なんだね今ならわかる

20席 17pt 桃×2 黄×1 緑×7 Bonus

衣未(みみ)WPPシュンイチ加治小雨木蓮えんどうけいこ天田銀河宮本背水静ジャックCIPHER


人間の受精を習う前に理科で受粉をサラッと習うからその時は通り過ぎてしまいがちですが、ほんとうは受粉だってすごい神秘だということに「今ならわかる」という表現がピッタリだと思います。幸香さん

生命の神秘を子どもが肌で感じるのは理科の授業なのかもしれない。受粉のしくみを知ることはそのまま受精のしくみを知ること、つまり子どもがかけがえのない「ぼく」「わたし」という生命の誕生のしくみを知ることの第一歩。「今ならわかる」というどこか幼い結句の収め方が絶妙で、生の息吹に目覚めた子どもの新鮮な驚きが伝わってくる。シュンイチさん

結句の「今ならわかる」が響きました。当時はサラッと流してしまった授業のことを歳月を経て思い出すことがあります。加治小雨さん

敢えて技巧に走らずに、しゃべり言葉として一首が造られている意味のあるうただと感じました。だれしもが必ず共感できる内容に、『今ならわかる』という余情ある結句に主体の背景を感じさせるストーリーを思わせて、そこから歌が広がっていくように感じました。宮本背水さん

なんで「雌雄」が「優劣」なんか先生はちゃんと説明できるんやろか

21席 15pt 桃×0 黄×5 緑×5 Bonus

知己凛ルナクシュンイチ二宮 隼人御殿山みなみえんどうけいこ七緒中牧正太CIPHER


学校では扱いにくい「性」という分野。教師も生徒もさぐりあいながら「性」への見方や考え方を作り上げていっているのが今の現状です。教育をさずける側もさずけられる側も、「性」にはある種の逡巡を覚えざるを得ない。突き放したような関西弁が効いている。シュンイチさん

「雌雄を決する」という言葉の意味に違和感を感じたのではないかと読みました。何の気なしに使っている言葉ですが、言われてみれば確かに「雌雄」のどちらが「優」でどちらが「劣」なのだろうと考えてしまいますね。生徒の醒めた目線にアイロニーを感じる歌です。関西弁もいいですね。えんどうけいこさん

これは雄花これは雌花と栗の木の香り吸い込み笑うあなたは

22席 14pt 桃×1 黄×2 緑×3 Bonus

知己凛太田宣子久哲森下裕隆中牧正太CIPHER


栗の花。実を言えば個人的にはちょっと苦手な臭いです。季節性のある相聞の一首で、そのにおいに付随するイメージのためか、やや性的なイメージも感じ取れますね。栗の花は、あの垂れさがっている白い穂が雄花で、その根元にあるイガイガのもとになるのが雌花だと調べて知りました。六月時期から秋季に向けての作物の成長していく力と、それを背景にした爽やかな恋のワンシーンがうまく切り取られていると感じます。宮本背水さん

大人の相聞。上質な季節詠。声に出して読むと、初句、二句の導きがゆっくりとやさしい。秀歌かと。久哲さん

「栗の木の香り」は、それ自体よりも想起させるものを理由に苦手な人もいるのかなと思うのですが、「あなた」はたぶんその辺を理解していない無邪気なひとなのかなと読みました。描写として「あなた」のことしかないので、主体がそこにどのような思いを抱いているのかがわかりにくいのかなという気がします。もうすこし何かヒントがあると、歌が深まるように思いました。桔梗さん

オスネコとメスネコと君とわたしと子孫を残せないまま暮らす

23席 11pt 桃×0 黄×3 緑×11 Bonus

せしん知己凛ルナク村田一広寿々多実果WPP可奈美遠木音木蓮ひの夕雅えだまめ中牧正太民生CIPHER


残さないではなく残せないというところに後悔や複雑な思いが読み取れますが、オスネコとメスネコと君と私で平穏に暮らして全うしようという決意が見えるような気がします。幸香さん

繁殖しないからといって雌雄の別に意味がないかというとそんなことはない、というところが人間の(猫もかな)面白いところです。この状況を主体はどう思っているのかは描かれていないのですが、何となくこれもいいじゃんって思っていそうな雰囲気がします。WPPさん

ネコと人間を対比的に列挙した上の句の淡々としたリズムに迫りくるものを感じました。子孫を残せない、とあるのは、ネコの場合は去勢手術を受けていることを示しているように考えます。『君とわたし』に関してはなにかしらの病気や事情を示唆しているようで、はっきりとしたものはわかりませんでしたが、うっすらと主体の持つ背景を感じさせませた。そうした状況で、結句の『暮らす』はあるがまま受け入れている自然体の心境を思わせる言葉として巧いチョイスだと感じます。ただ全体として崩れた韻律は気にかかりました。『もう恋ができないようにした猫と暮らしています 元気でいます』(英田柚有子)という一首を思い出しました。(こちらは強がりが透けて見える歌ですね)宮本背水さん

オスとメスのネコをご夫婦で飼っているのでしょうか。どちらも子孫を残せないまま一緒に暮らしている。残せない、とあるので理由があるのだなと想像しました。
ネコを出したところにユーモアがあり、残せないまま、と言う言葉に後ろめたさの様な響きを感じます。大西ひとみさん

二匹とふたりで暮らすのだったら賑やかで楽しそうなのですが「子孫を残せない」には屈託を感じます。主体の感情がもう少しわかった方が…と思うのですが、あえてそこを想像させる歌なのかもしれません。森下裕隆さん

挨拶が雌雄を決すおはようの連覇の期待が高まる朝

24席 11pt 桃×0 黄×3 緑×5 Bonus

村田一広加治小雨久哲中牧正太みやこどり静ジャックCIPHER


片思いの、意中の相手でしょうか。『雌雄を決す』『連覇』という大仰な言いまわしに、挨拶を交わすだけでドキドキしてしまう思春期を想起しました。もってまわった言いまわしのために明確にシーンとして視界に浮かんでくる情景が足りない感もありましたが、その爽やかさの心地よい一首だと思います。宮本背水さん

虹色のひよこを雌雄に分けてゆく手を真っ赤っ赤に染める夕焼け

25席 9pt 桃×1 黄×2 緑×8 Sorry

知己凛村田一広あひるだんさー御殿山みなみ淡海わこ天田銀河宮本背水森下裕隆中牧正太民生CIPHER


虹色のひよこと夕焼けに昭和の光景が喚起される。雌雄の仕分けは露店に出される前なのだろうか。夕焼けが入り込む一室で黙々と仕分ける人の手と、不自然に染められたひよこたち。色がぎゅっと凝縮されたのちにセピアに変わるような淋しさと懐かしさを感じた。二宮 隼人さん

『虹色のひよこ』というのを最初はカラーヒヨコのことかとも思ったのですが、あれは基本的に仕分けられた後の(格安の)オスだけが染色されているはずなので、この歌の『虹色の』はそうではなく、まだ行く末の定まらないひよこに対する枕詞的な修辞を為しているのだと読みました。『真っ赤っ赤』という表記が秀逸ですね。もちろん一義的には夕焼けを指す修辞なのだけど、(やや深読みになるかもしれませんが)雛鑑別士という職業を思えば、そこから先にある命の結末も暗示しているようで、重ねられる赤の文字が不穏なものを表しているようにも感じました。宮本背水さん

既に述べられていますが、かつて見かけた露天のカラーひよこは雄ばかりのはず(間違っていたらごめんなさい)。運よく大きくなってしまうと朝早くから声高らかに鳴くようになり扱いに困るんです...って長くなりましたがそんな感じで違和感から入ってしまいました。「真っ赤っ赤」という言葉は恐ろしさもあり、いろんなイメージを次々と湧かせる、不思議な歌でした。。えだまめさん

駄菓子屋、紙芝居屋、ロバのパン屋のように、聞いて想像するしかない、でも色も匂いも想像できてしまう昭和の風景としてのひよこ売りが目に浮かびました。夕日の色がその時代の象徴としてあるのと同時に、先の方も書かれているように、雄のひよこの行く末の暗示にもなっていると思い、その点からこの色の使い方がとてもよいと感じました。天田銀河さん

「虹色のひよこ」は最近見かけなくなった、カラーひよこを思い浮かべましたが、主体はひよこ鑑定士なのでしょうか。鑑定方法にあまり詳しくないのでわかりませんが、性別を鑑定するために必要なライトを夕焼けと比喩しているのかなと読みました。
鑑定するのだとしても色を染める前に行うのではないのかなという気がしましたが…。桔梗さん

雌か雄まだわからない子パンダの姿にほころぶ君も私も

26席 7pt 桃×0 黄×1 緑×8 Bonus

ルナク寿々多実果衣未(みみ)WPP遠木音淡海わこえだまめ民生CIPHER


上野のパンダの誕生がニュースで大きく取り上げられ、雌雄どころかまだパンダ柄にもなっていない姿に日本中が歓喜した様子を思い出しました。子パンダにはホントにみんながほころぶ不思議な魅力があると思います。幸香さん

先ごろ生まれた上野動物園のパンダのことでしょうか。「君も私も」どころかたいていの人は喜ばしく思う姿だと思うので、率直な気持ちなのだと思うのですが、歌としてはあまりにも素直過ぎるような気がします。
桔梗さん

卒業ね セーラー服と白百合とミミズのように恋した人と

27席 7pt 桃×0 黄×1 緑×4 Bonus

えだまめ大西ひとみ中牧正太萩野聡CIPHER


ミミズには雄雌がないのですね。女子校の中の恋、を卒業して、雄雌のある世界に戻るという意味でしょうか。ちょっと難しかったです。衣未(みみ)さん

いわゆる百合短歌と呼ばれる類の歌として読みました。「卒業」「セーラー服」「白百合」「恋した人」というどちらかといえばきれいなイメージを持つ言葉のなかに、「ミミズ」という異物をぶちこんできたのが巧いと思います。「白百合」と「ミミズ」という同性愛を示唆する言葉をふたつ、それぞれ異なるイメージで対比させたのもおもしろいです。一方で「ね」や「と」で連続する助詞の使い方が、あまり歌の拡がりに寄与していないようにも感じました。宮本背水さん

ミミズのように恋をするというのはとてもインパクトのあるフレーズだと思いました。ただ、セーラー服での恋の表現としてあまり似合わないようにも感じてしまいました。木蓮さん

花火にもオスとメスとがあるのだと金魚ぶら下げ語る親方

28席 6pt 桃×0 黄×3 緑×4 Sorry

せしんあひるだんさー淡海わこ久哲みやこどり静ジャックCIPHER


夏祭りの初々しい2人を後押しするような、ちょっとお節介な人情味のある親方
こういう名脇役のいる物語、好きですけらさん

「親方」は縁日に出ている金魚屋さんで、いましも打ち上げられている花火を見ながら主体に語っているのでしょうか。「親方」というキャラクタはよいと思います。
「金魚」→オスメス→花火にオスメスがあるという話の流れなのだと思うのですが「金魚ぶら下げ」はちょっと説明的だし、親方が金魚を売った方か買った方かが曖昧な感じがします。桔梗さん

彼が親方業(花火職人?)の人なのかな、と思いましたが違っていたらすみません。
個人的には親方って惹かれる職業で、ちょっとお節介な面倒見の良い感じをイメージしました。(ただこれは人それぞれだと思いますが)
金魚をぶら下げ語っている親方は、ちょっとかわいいなと思いました。大西ひとみさん

生きていく覚悟の違い知らされる雌雄同体あとを絶やさず

29席 5pt 桃×0 黄×0 緑×4 Bonus

村田一広WPP岡桃代中牧正太


跡を絶やさず、の読みにちょっと戸惑ったのですが、これは「後を絶たない」を自発化した造語でしょうか。勉強不足であれば申し訳ないですが、あまり耳慣れない用例かと感じました。雌雄異体の人間の目からして、雌雄同体のミミズやナメクジ、あるいはシダ系の植物は驚きに満ちているように思います。それを「生きていく覚悟の違い」と述べることによって、(ちょっと大げさにも思えますが)感動をよく表しているように感じました。宮本背水さん

雌雄同体、なめくじ、みみず、植物や魚は途中で変性するものも。子孫を残すための覚悟が少ない、ということなのでしょうか...(と、読みとりました)飾りのない言い切った31文字に、作者の強い意志が感じられます。えだまめさん

上の評を書いたものです。ごめんなさい、書き方があまりよくなくて。植物には途中変性するものは無いですね、多分。あと子孫を残すための覚悟が少ないのは「ヒト」です。混乱させて申し訳ありませんでした。えだまめさん

人間は雌雄が別々の個体として存在しているわけですが、自然界には雌雄同体の生物(貝類等)がいます。それは種を残すための、自然を生き残ってゆくための進化やらなにやらがあっての結果で、別にそれらの個々の生物たちが覚悟をしているわけではないとは思うのですが、主体は子孫を残すことができずにいて、なんとなく自分の生きる覚悟を問われているように思っているのでしょうか。
「跡を絶やさず」は、(途絶えさせることなく)子孫を残している、という意味にとりましたが、ちょっとわかりにくい表現かなとも思います。桔梗さん

以上29


投票した人

せしん 知己凛 幸香 ルナク 村田一広 寿々多実果 衣未(みみ) WPP あひるだんさー シュンイチ 可奈美 二宮 隼人 加治小雨 遠木音 木蓮 御殿山みなみ えんどうけいこ 岡桃代 太田宣子 西村湯呑 けら 侑子 ひの夕雅 淡海わこ えだまめ 天田銀河 宮本背水 かざなぎりん 大西ひとみ 七緒 久哲 森下裕隆 中牧正太 みやこどり 井筒ふみ 萩野聡 nonたん 西村曜 民生 桔梗 といじま 静ジャック 須磨蛍 CIPHER

≪ 34代目うたの人36代目 ≫

うたの日