35代目総選挙を開催します。

 

雄、雌、とヒヨコを分かちふわふわの命の行方を決めていく人

ひよこのオスって処分されてしまうんですね。知らなかったです。それを踏まえて読むと、どちらも素人目にはただのふわふわなのに…と悲しい気持ちになります。でも、この歌ではそういった感傷はなく、さらつっとした読み口で、鑑定士のあくまでも淡々と作業をこなす様を描いています。そこがとてもいいし、また命の行方という言葉が重みもきちんともっているので、バランスも素晴らしいと思います。

卒業ね セーラー服と白百合とミミズのように恋した人と

ミミズには雄雌がないのですね。女子校の中の恋、を卒業して、雄雌のある世界に戻るという意味でしょうか。ちょっと難しかったです。

虹色のひよこを雌雄に分けてゆく手を真っ赤っ赤に染める夕焼け

虹色のひよこと夕焼けに昭和の光景が喚起される。雌雄の仕分けは露店に出される前なのだろうか。夕焼けが入り込む一室で黙々と仕分ける人の手と、不自然に染められたひよこたち。色がぎゅっと凝縮されたのちにセピアに変わるような淋しさと懐かしさを感じた。

きみのこと雄と見れないわたくしの雌はゆっくり仮眠している

仮眠という表現に無限に広がる可能性を感じました。わたしの雌はいつかゆっくり目を覚ましきみを雄として見始めるといいなと願いたくなります。

3句からの流れが特にいいと思いました。仮眠しているということは、眠りきっていない。なにかのきっかけで目覚めるかもしれないことを含ませていて、雄にきみが見えた瞬間にきっと目覚めてしまうのではないでしょうか。

圧倒的に胸に迫ってきました。立場が逆だったとしても十分に通じる歌であると思います。相手を雄として見ることは、直観の要素も大きいと思います。相手のことをこれからも決して雄としては見ないであろう、ある種の冷たさも感じる歌でした。

狛犬の雌雄を論ず わたくしを女として見たことなきひとと

枯れてゆくものとは知らずサボテンに女性の名前をつけてしまった

これは女性の美しさは枯れることがないというある種の観念が内包されているのでしょうか。美しい花にはトゲもありますが、サボテンにはトゲしかありませんね。どこか屈折した歌だと思いました。

生きていく覚悟の違い知らされる雌雄同体あとを絶やさず

ドーナツ屋の獅子の雌雄を巡っては来店のたび喧嘩している

あの声は誰だつたらう わたくしへ虹に雌雄があると教へて

うつくしき雌雄モザイクアゲハチョウ不完全とも完全とも見え

雌雄モザイクアゲハチョウ、調べてみると、左右非対称の模様や色の微妙な違いがあり興味深い蝶でした。しかし、生殖能力はない場合が多いようで、その代限りのものになるようです。
生命体として不完全で、デザインも歪な蝶を完全とも見える、というのはちょっとよくわからないな、と思いました。

不完全を愛する、日本的な美学のある歌と思います。完璧とは言いかえれば予測可能であり代替可能である気がする。時間や自然や人生を私たちがかけがえなく思うのはその唯一性、一回性にあるのだなあと、そんなことを思いました。非常に共感します。

夏休みじいちゃんみたいなばあちゃんと生きる分だけ野菜をもいだ

読むひとのこころを優しく包み込んでくれるようなあたたかな歌ですね。年を重ねることも素晴らしいと思わせてくれます。下の句で「野菜」をただの食べ物としてだけでなく私たちと同じ生き物として見ている視線もとても好きです。

「じいちゃんみたいなばあちゃん」がいいです。夏休み、野菜、もぐといった言葉の選択もよく、まさに夏の生命力を感じさせます。

理科できいた雄しべと雌しべの出会いって神秘なんだね今ならわかる

人間の受精を習う前に理科で受粉をサラッと習うからその時は通り過ぎてしまいがちですが、ほんとうは受粉だってすごい神秘だということに「今ならわかる」という表現がピッタリだと思います。

生命の神秘を子どもが肌で感じるのは理科の授業なのかもしれない。受粉のしくみを知ることはそのまま受精のしくみを知ること、つまり子どもがかけがえのない「ぼく」「わたし」という生命の誕生のしくみを知ることの第一歩。「今ならわかる」というどこか幼い結句の収め方が絶妙で、生の息吹に目覚めた子どもの新鮮な驚きが伝わってくる。

雌雄なき天使に産まれ損なひて自涜じとくののちのあおぞら深し

「自涜ののちのあおぞら」には、行為によって得られるすがすがしさとうしろめたさの相反する気持ちが表れているように思います。「産まれ損なひ」と書かれていますが、実際に主体(筆者)が性別のない天使に産まれることを望んでいるのかなぁ、そうではないよなぁと感じます。

愛の名の陽射しを枝に求め合い雌雄異株たるヒトもまた樹々

メス猫がもらわれてゆく玄関で「またな」みたいに鳴いたオス猫

さみしいはずの場面を「またな」と軽やかに詠みながらもメス猫とオス猫の心情や様子が目に浮かぶように描かれていると感じました。

ちょっと淋しいけれど幸せを祈る気持ちを、オス猫が鳴いたことに込めているのだと感じました。優しい気持ちになりました。

詠みたい気持ちはわかりますが、猫をそのまま題材にするとどうしてもありきたりな歌になってしまうのでは。「またなみたいに鳴く」というのも作者の思い込みでしかないわけだし。せめてそのオス猫の客観的な描写に終始したほうがいいと思いました。少し厳しい言葉ですみません。

星々の雌雄鑑定師のボクも見たことないよ地球のチンコ

想像上の職業と結句のインパクト。好きです。星の雌雄の見分けかた知りたいです。チンコがついてるものなんでしょか。

チンコに目が行きますが上手いのはどっちかというと上句の入り方ですよね。これで歌にしてやるぞ!という強い決意を感じます。こういうふっきれた感じは好きです。

挨拶が雌雄を決すおはようの連覇の期待が高まる朝

名詞にも性のあること説いていしロシア語教師の声ふかき午後

名詞に性がある言語はロシア語だけではないと思うのですが、ロシア語を選んだ、「はっとさせる何か」があるともっとよかったのかなぁって思いました。

ホッホーと夫婦喧嘩の最中につがいの鳩が相づちを打つ

犬も食わないという夫婦喧嘩に鳩の相槌。しかもつがい。喧嘩の微妙な間や空気感が上手く表現されていると思いました。ポッポじゃなくホッホーなところも絶妙だと思います。

これは面白い。鳩が実際に夫婦喧嘩の内容を聞き取ったりはしないのでしょうが、ホッホーという音といい首を傾げる鳥独特の仕草といい、いかにもあり得そうです。日常の場面を巧みに切り取っていて素敵な歌と思います。

オスネコとメスネコと君とわたしと子孫を残せないまま暮らす

残さないではなく残せないというところに後悔や複雑な思いが読み取れますが、オスネコとメスネコと君と私で平穏に暮らして全うしようという決意が見えるような気がします。

繁殖しないからといって雌雄の別に意味がないかというとそんなことはない、というところが人間の(猫もかな)面白いところです。この状況を主体はどう思っているのかは描かれていないのですが、何となくこれもいいじゃんって思っていそうな雰囲気がします。

これは雄花これは雌花と栗の木の香り吸い込み笑うあなたは

花火にも雌雄があるらし満天の恋に見惚れるゆびさきからむ

花火に雌雄があるなら花火大会は求愛のための一夜だろうか。空いっぱいの恋の花を主体は誰と見上げているのか。恋人か、恋人ではないが好きな相手か。互いに意識し始めている幼なじみ同士と読むと甘酸っぱい。「花火にも男と女があるんだって」などと軽口をたたきながら見ているうちにその美しさに圧倒され、ふと触れた指が自然と絡むに至って自分たちも男と女であることに気づく。瑞々しい一瞬を切り取っていて想像が広がる。好きな歌である。

なんで「雌雄」が「優劣」なんか先生はちゃんと説明できるんやろか

学校では扱いにくい「性」という分野。教師も生徒もさぐりあいながら「性」への見方や考え方を作り上げていっているのが今の現状です。教育をさずける側もさずけられる側も、「性」にはある種の逡巡を覚えざるを得ない。突き放したような関西弁が効いている。

いろいろとあって選んだ色でしょう孔雀雌雄はそれぞれに凛

雷鳴のはやさで外すブラホックひとりぼっちに雌も雄もない

ネジにでも雌雄はあって黙々ときみはきれいなナットを選ぶ

オスネジ、メスネジというのを聞いたことがあります。「黙々と」がいいですね。作業所や工場でネジを扱う細やかな作業に集中する、寡黙な青年の姿が浮かびます。

雌も雄もおなじつくりを持つことのかなしみを抱く告別の日は

漢字のつくり(旁)と人つくり(造り)を結び付けた比喩が秀逸だと思いましたし、愛した人との死別のかなしみを男女の違いなどなくなってしまう遺骨に見出した洞察力にも関心しました。真実の愛って性別など超越した存在なのかも・・・ちょっと脱線しましたが、そんな事まで考えさせられる素晴らしい歌だと思いました。

雌か雄まだわからない子パンダの姿にほころぶ君も私も

上野のパンダの誕生がニュースで大きく取り上げられ、雌雄どころかまだパンダ柄にもなっていない姿に日本中が歓喜した様子を思い出しました。子パンダにはホントにみんながほころぶ不思議な魅力があると思います。

花火にもオスとメスとがあるのだと金魚ぶら下げ語る親方

詠草を選択したらこちら

Name
  以上の内容で投票します。

投票した人

せしん 知己凛 幸香 ルナク 村田一広 寿々多実果 衣未(みみ) WPP あひるだんさー シュンイチ 可奈美 二宮 隼人 加治小雨

現在13

≪ 34代目うたの人36代目 ≫


現在までの得票
加治小雨21333
衣未(みみ)19322
天田銀河18091
岡桃代12211
かざなぎりん12210
えだまめ12062
久哲11130
太田宣子10051
桔梗9123
大西ひとみ8041
遠木音8040
二宮 隼人6031
5104
えんどうけいこ4025
宮本背水4023
森下裕隆4022
西村曜4022
ひの夕雅4022
七緒4021
けら4020
nonたん4020
シュンイチ2013
木蓮2013
深影コトハ2012
中牧正太2012
きつね2011
せしん2010
幸香0002
知己凛0000

うたの日