32代目総選挙 開催:2017年03月25日〜30日

 

サーバの悲劇を越えてゆく人の巻

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歌題『  』

三年間通ひつづけた図書室にもう明日からわたしがゐない

第32代うたの人

首席 96pt 桃×11 黄×18 緑×6 Bonus

うた猫松岡拓司寿々多実果せしんえんどうけいこといじまミオナマジコWPPわらびひの夕雅きつねハナゾウ深影コトハ小泉夜雨倉橋千帆高木一由知己凛なぎさらさ井筒ふみ西村湯呑莉奈遠井海CIPHERけら仙冬可七緒薄荷。中牧正太西村曜小林礼歩森下裕隆岡桃代須磨蛍静ジャック


三年間、図書館へ通い続けるとは、よほど本がお好きなんでしょうね。図書室の司書の先生ともかなり顔なじみになっていたことでしょう。明日からは馴染みの本棚、机、司書の先生ともお別れ。まだそこに残り続けるものと、旅立ってゆくものの対比がとても好きです。うた猫さん

卒業して明日から図書室には来ることがないという、内容としてはそれだけのシンプルな表現から、作者の心情が読み手に充分伝わってくる見事な歌だと思います。そこで過ごした三年間にはきっといろいろな思い出があるのでしょうね。図書室という具体的な場所が示されているため、作者が来なくなってもそこにあり続ける図書室の情景が見えてくるようです。旧仮名の使用もマッチしていて効果的だと思います。えんどうけいこさん

私も毎日図書室で過ごす生徒だったので、内容にはとても共感するのです。でも、旧仮名遣いにする意味がイマイチよくわからないです。自分の学生生活を振り返る時に、古文の授業くらいしか旧仮名遣いに触れることはなかったので、あまりピンとこないんですよね。でも、この作者の方にとっては旧仮名遣いがこだわりなんだろうなあ。良い読者でなくてごめんなさい。ミオナマジコさん

図書室とは学校の図書室のことだと思いますが、「学校」とは言わないところに、学校(クラス)にあまり馴染めなかったであろう主体を想像しました。本への愛情と、三年間主体を迎え、見守り続けてくれた図書館との別れを惜しむ気持ちが感じられて、良い歌だなと思いました。WPPさん

作者にとって図書室は特別な場所だったのでしょうね。
そこにどんなドラマがあったのかは全く描かれていない。
むしろそこに旅たちの切なさを感じます。井筒ふみさん

「わたしは明日から図書室に行くことはない」という話を、図書室の視点で表現されたところが美しいと感じます。
図書室にとっても「わたし」が来なくなることが寂しいかもしれない。見送る先生や後輩も、日常の風景の変化に違和感をおぼえるかもしれない。
取り残された人やものへの想像が膨らみました。好きです。倉橋千帆さん

私も図書委員でした。
私が卒業してもいつもと変わらない図書室ですが、自分の影がそこからなくなるときの寂しさをしみじみと思い出します。パコ・ベルデさん

自分がいなくなっても図書室は図書室として、変わらず存在している。
という実感が卒業の日にストンと落ちてきたかのような。静かな図書室の雰囲気に相応しいと思いました。仙冬可さん

図書室に自分がいなくなることのさみしさであると共に
いなくても変わらないことへの虚無感を感じました
淡々と過ごした日々が過去であることが旧仮名遣いで強調されているかな、と思いましたけらさん

三年間見守ってくれた図書室と別れるけれど、図書室は何も変わらないという寂しさを感じました。人の少ない図書室の静かな感じが旧仮名に表れているのかなと思いました。薄荷。さん

三年間図書室の風景のひとつだった自分なのに、卒業によってその存在がなくなってしまう。それでも変わらず図書室は在り続ける。そんな淋しさを私も感じながら卒業しましたので強く共感しました。倖さん

「もう明日から私がいない(⬅すみません、どうしてもワ行のイを出せません)」に、寂しさや悲しさが凝縮されているのを感じました。もしかしたら、学校生活の終わりを受けとめきれていないのかも、とも思いました。岡桃代さん

教室のクラスメートの関係に馴染めなくて、図書室が唯一の居場所だったのだろうか、と思いました。卒業、というよりは、図書室にたましいを永遠に置き去りにしてしまうかのような、寂しいの一言では言い切れない感情があります。森下裕隆さん

巣立ちの日廊下でひとつ伸びをしたこの窮屈さは悪くなかった

2席 71pt 桃×4 黄×23 緑×5 Bonus

さはらや松岡拓司寿々多実果えんどうけいこといじまミオナマジコわらび那須ジョン金子りさきつね倉橋千帆高木一由知己凛なぎさらさ井筒ふみ小川けいと遠井海衣未(みみ)楢原もかCIPHERけら仙冬可ハリエット七緒薄荷。中牧正太小林礼歩桔梗久哲森下裕隆須磨蛍


青春の分かれ目のワンシーン、そこに現れる複雑な心境を余すことなく表現できていると思います。
ふと感じたのですが、この主体は人間と限定しなくても、またおもしろいかもしれません、って脱線ですかね、スミマセン。松岡拓司さん

窮屈さは同時に守られているということですよね。自由になりたいけどこの心地よさから離れてしまうという寂しさや不安のような気持ち。でも主体は若い。この先どう道を拓いていくのか楽しみです。寿々多実果さん

学校生活を窮屈だと感じながらも卒業の時に悪くなかったと思えるのは、それだけ充実した日々だったのでしょうね。「廊下でひとつ伸びをした」が、これからまだまだ伸びしろがあるであろう主人公の若さと重なって心地よい表現だと思いました。ミオナマジコさん

中学生?高校生?学校生活を振り返って伸びをしながら「悪くなかった」なんて言い回しをする冷静さというか老成ぶりがなんとも良いですね。前向きな無常感すら感じられて私的「魅力的な主体」第一位です。WPPさん

廊下で伸びをする素直さと「悪くなかった」というどこか冷静で大人ぶった言い回しの複雑さが好きです。
情景がありありと思い浮かんできます。卒業の晴れやかな寂しさを捉えた、とても好きな歌です。なぎさらささん

一読してすぐには分からなかったのですが、他の方の選評を拝見して、制服の窮屈さを「悪くなかった」と思える作者が羨ましくなってきました。当時はそんな事思わなかったなあ〜いっくんママさん

在学中は、校則や「中学生(高校生)らしさ」という枠に縛られ、窮屈さを感じていたのでしょう。
また、伸びをすることで小さくなってしまった制服がより窮屈に感じられるという読みも出来ます。
「伸び」「窮屈さ」に二重の意味を込めることで、主体の体と心の成長が読み取れます。廊下という背景もいいですね。倉橋千帆さん

学生時代というのは窮屈に思えますが、守られているのだと思います。校則や制服や、教室の移動の導線もだいたい決まってきます。この廊下を通る最後の瞬間なのかと思いました。悪くなかった、というのが感傷的ではなく、大人になろうとしている印象を受けました。仙冬可さん

「巣立ちの日」は卒業式。学校が嫌だという人も多いのかもしれませんが、主体にとってはそう悪いものではなかったのでしょう。むしろ「悪くなかった」という言葉は、率直に学生生活を謳歌したということの恥ずかしさからの控えめな表現という感じもします。ちょうどわたしたちがあえて短歌という定型を好んでいるようなところと共通しているのかもしれません。桔梗さん

前カゴを花で満たしたヤンキーの自転車が行く卒業の日よ

3席 61pt 桃×4 黄×18 緑×6 Bonus

さはらや寿々多実果せしんえんどうけいこといじまミオナマジコWPPわらび金子りさきつね深影コトハいっくんママ倉橋千帆知己凛なぎさらさ西村湯呑莉奈楢原もかCIPHER仙冬可七緒薄荷。中牧正太小林礼歩桔梗森下裕隆岡桃代


みんなから愛されているヤンキーだったのでしょうね。少し照れながら自転車をこぐヤンキーが目に浮かびます。今までやんちゃしていたヤンキーも卒業のときを経て大人になっていくのだろうなと思いました。さはらやさん

行く、とあるので、卒業式に向かっているようにも思えました。そうすると、花はお祝いでもらうものじゃなく、人造の花飾り、そういう下町で見かけるような、デコってある自転車かと。それは楽しい風景だと思いつつ、違ってますよね…m(__)m松岡拓司さん

この花は、自転車の持ち主のヤンキーが卒業祝いにもらったのか、それとも、卒業していくヤンキーの先輩たちのために後輩のヤンキーが用意した花なのかはわからなかったんですが、意外性があって面白いお歌です。ヤンキーにも可愛いところがあるのだなと微笑ましくなります。ミオナマジコさん

卒業式の後だと思いました。「行く」は「通り過ぎる」という意味で使われているのではないかと思います。ちょっとかわいいヤンキーですよね。きつねさん

ヤンキーって中学時代はもててましたね。不良と花束の取り合わせにギャップ萌えです。花束をもらって少し困っている様子まで浮かびます!私も「行く」は「通り過ぎる」と思われました。いっくんママさん

ヤンキーかわいい笑 すきです小泉夜雨さん

ヤンキーの自転車ってボコボコだったり落書きにまみれたりしますよね。その前かご(これもきっとボコボコ)が花に満たされているというギャップがとてもいいです。なぎさらささん

ヤンキーって言い方が少し古めかしくて、同世代ではなく、年配の方が若い中高生を見て詠んだ(という位置付けの)歌なのかなと思いました。単に金髪にしていたりズボンをずらして履いているだけで「ヤンキー」認定されていたりして。笑
在校生か卒業生か、どちらとも取れますが、私は在校生として読みました。派手な格好をしているけど、親しんだ先輩たちに花を贈るために一生懸命自転車を漕いでいる。可愛いです。深影コトハさん

いつもはカッコつけているヤンキーが誰かに渡すための花をのせて自転車を漕いでいる……帰りに花をもらってきたというよりは、これから学校に向かうところなのかなと読みました。わたしはヤンキーが卒業生で、花はこれまであまり素直に接することのできなかった先生へ渡すためのもの、という風に読んだのですが、いろんな想像ができるところがこの歌の楽しさでもあると思います。桔梗さん

花はヤンキーが貰った方で読みました。案外ヤンキーってそういうの喜びますよね。森下裕隆さん

最後って言えばなんだかひかりだすあんなに嫌いだった制服

4席 55pt 桃×4 黄×15 緑×5 Bonus

うた猫さはらやせしんえんどうけいこミオナマジコWPP那須ジョンハナゾウ深影コトハ小泉夜雨倉橋千帆知己凛なぎさらさ井筒ふみ西村湯呑衣未(みみ)淡海わこCIPHERけら仙冬可小林礼歩久哲岡桃代


どうして制服が嫌いだったのか想像が膨らみます。志望校に落ちて入学した滑り止めの学校だったのか、もしくは、家計を考えて公立の学校に進学したためミオナマジコさん

途中で送信しました。すみません。↑

制服があまり可愛くない学校だったのか。いずれにしても、卒業の日にはひかりだして見えるほど、充実した学校生活だったのだなと伝わってきました。ミオナマジコさん

後悔と同じく未練も、終わりを迎えて初めて感じるのだなぁとしみじみ思いました。制服は象徴で、主体には苦手な授業や嫌いな行事、憂鬱な人間関係などがあったのだと推察します。がそれすらも名残惜しくなる心理、よくわかる。ほんとに心とは不思議なものですね。WPPさん

最後になってひかるもの、気持ちすごくわかります もう二度と交わらないことに対するさみしさを思いだしました小泉夜雨さん

制服は、「個性」を消すものだと思います。学校に通っている間は窮屈極まりないものですよね。ただ、これを着るのが最後と思うと逆にきらきら光って見えるものですね。人間のないものねだりの部分をうまく切り取られているように感じました。知己凛さん

自分が着ている時の制服ってわりと不満な点ばかりが目についてしまうもののように思います(よほど制服目当てで入った学校とかなら違うのかもしれませんが)。
たまたまかもしれませんが、第27代うたの人「奇跡」の時に詠んだ「奇跡つて呼べば何だかひかりだす退屈だつたぼろい校舎も」を思い出しました。ちょっと対になっているみたいで楽しいです。
桔梗さん

もちろん『卒』のお題が、卒業式ばかりでは無いのは読めばわかります。しかし、この歌は真向勝負であり、詠みも一見は誰でも詠みそうな内容でありながら、リアリティと少し青春の暗さも感じさせ、何と申しますか、嫌みではない風格のある歌かと感じました。要は一番好きな歌ですね。久哲さん

もう着られないと思うと急に惜しくなる、その感じがよく出ていると思いました。「ひかりだす」に漢字を使っていないところに、制服そのものではなく、詠み手の心に映る制服であることを感じました。岡桃代さん

食べ終えた串が卒塔婆のように立つ女子会あとのテーブルの上

5席 50pt 桃×3 黄×15 緑×6 Bonus

うた猫松岡拓司寿々多実果えんどうけいこといじまWPP金子りさひの夕雅きつねハナゾウ倉橋千帆高木一由パコ・ベルデ久保 直輝淡海わこ仙冬可ハリエット中牧正太桔梗久哲森下裕隆岡桃代静ジャック


光景が見えるようです。女子会の話題も悪口や愚痴や噂話もあり飲んで話して食べて褒めあったり慰めあったり、テーブルや串もぐったりするほど盛況な飲み会だったのでしょうね
他の歌と違う切り口が新鮮でした。ハナゾウさん

楽しそうな女子会の風景に、卒塔婆を持ち込むことでシニカルな雰囲気に。目の付け所が面白いです。WPPさん

東京タラレバ娘のヒトコマのような情景を思い浮かべました。楽しいんだけど少しもの悲しい感じがよく出ていて好きです。高木一由さん

「卒塔婆のよう」な串がユニークです。食べ終えた串を入れる用の壺があるお店なのでしょう(地域性か実際にあまり見かけたことはないのですが)。普通の焼き鳥の串では細すぎて卒塔婆という感じにはならないように思うので、つくね等に使われる平たい持ち手のような部分のある串っぽい気がします。
女子会とひとことで言っても集まるメンバーによってだいぶその性質が異なるように思うのですが、おしゃれな女子会というよりは気取らないお店で本当に仲のよいもの同士が集まって鬱憤を晴らしあっているような感じなのかなと思いました。
桔梗さん

やさぐれているなぁ、と苦笑いしている様子が浮かびます
気のおけない悪友同士で盛り上がり、気がつけば魑魅魍魎の蔓延る墓場のような飲み会後の惨状に、ふと正気に戻ったほろ苦い可笑しさが出ているかな、と思いましたけらさん

すごく面白い歌なのですが、オチを先に言ってしまったのが勿体ないような…!
「卒塔婆のような串」より先に「女子会」を言ってしまったほうが、より味のある歌になると思いました。深影コトハさん

よく飲み、よく食べ、よく喋った!串の数は書いてないのに女子会の賑やかな風景が浮かびます。残されたのは焼け野原のような食卓。ユニークですね。
個人的には、女子会後よりも真っ最中の方が好みでした。倉橋千帆さん

「卒業」の歌が並ぶなかで、独特さが光りました。ゆるさ加減が魅力です。ハリエットさん

うそじゃない嘘をみんなで分けあった 卒業してもずっとともだち

6席 43pt 桃×2 黄×14 緑×4 Bonus

松岡拓司寿々多実果ミオナマジコWPP金子りさ倉橋千帆西村湯呑小川けいと遠井海久保 直輝CIPHERけら仙冬可ハリエット薄荷。中牧正太西村曜森下裕隆須磨蛍静ジャック


うそじゃない嘘というのが読み取りきれませんでした。深刻な嘘ではない、遊びの嘘ということでしょうか。下の句にひとひねり欲しいなと思いました。さはらやさん

口にする誰もが、約束が守られはしないだろうことをうっすらと感じている、卒業式の1シーン。あの儚さを思い出して一緒に泣き笑いしそうになりました。泣き笑いの意味は彼女たちとはもう違うのだけれど。WPPさん

とてもミステリアスなお歌だなと思いました。ちょっと湊かなえさんの小説のような世界観といいますか、この同級生たちは何かの嘘をついたまま罪を共有して卒業していくのですね。卒業してもずっとともだちというところ、背筋がゾッとします。ミオナマジコさん

下の句が「うそじゃない嘘」なのだと思いました。そうはならないこともわかっているけど、願望も込めて今は本心でそう言っていることを「うそじゃない嘘」と表現したのだと思います。
でもたしかに三つめの評のような読み方もできて、「分けあった」が特にそういうイメージにさせるのかな?とも思います。きつねさん

中高の女子生徒のグループを思い浮かべました。自我が芽生える時期でちょっとした嘘をついたりつかれたり難しい多感な時期をともに過ごした濃さがよく表わされているなと思いました。読み手の頭のなかに物語が広がる歌だと思いました。小川けいとさん

私も嘘は下句を指しているのだと思います。
斉藤由貴の『卒業』という歌に「卒業しても友達ね/それは嘘ではないけれど/でも過ぎる季節に流されて/逢えないことも知っている」という歌詞がありますが、まさにその世界観ではないでしょうか。
嘘のつもりはないけれど、遊びに行く計画などは立てていないのでは。
「うそ」の表記の使い分けにどのような意図があったのか気になります。倉橋千帆さん

「みんな」はどの程度の範囲の人間を指しているのかわかりませんが、学生時代に仲のよかった友達のことでしょうか。
「うそじゃない嘘」=「卒業してもずっとともだち」という事柄で、卒業の時点ではその言葉を嘘にするつもりではないけれど、かといってそれが本当にずっと続くということも頭のどこかで信じていないようなニュアンスなのかなと読みました。桔梗さん

ほろ苦く重き 身体からだを卒業し享年 百三ひゃくさんひかりとならむ

7席 41pt 桃×2 黄×13 緑×2 Bonus

うた猫せしんえんどうけいこといじまひの夕雅深影コトハ小泉夜雨倉橋千帆高木一由なぎさらさ井筒ふみ淡海わこ中牧正太西村曜桔梗森下裕隆静ジャック


どなたかの死、を詠んだ歌と読みました。死を重き身体からの卒業とはなるほどなと思います。大往生だったからこその感慨なのでしょうね。ひかりとならむ、の余韻が良いです。WPPさん

生を「ほろ苦く」、身体を「重く」、死を「ひかりとなる」と表現されたこと、一つ一つが大変魅力的でした。
ただ、繋げて読んだときに「ほろ苦く重き身体」の部分が何か過剰に感じてしまって、思い切ってどちらかを削られても良かったのではないか、と思いました。深影コトハさん

祖父母か曾祖父母かわかりませんが、身近な方が百三歳で亡くなられたのでしょう。百三歳ともなると身動きもままならずいろいろ身体にも不具合が生じていたのを主体は日頃から目にしていたのかなと思いました。「ほろ苦く」はその人物の人生を指しているのだとしたら、百三年を簡単にまとめすぎかなとも思うのですが、亡くなられたことによって「ひかり」になるというところが、天寿を全うした感じが出ていてよいと思いました。文語体も効いています。
桔梗さん

むせかえるような香りの沈丁花卒業までは先生ですか

8席 36pt 桃×3 黄×8 緑×8 Bonus

えんどうけいこ那須ジョンきつね深影コトハいっくんママ小泉夜雨パコ・ベルデなぎさらさ井筒ふみ遠井海けら七緒薄荷。中牧正太西村曜久哲森下裕隆岡桃代須磨蛍


これ、どっちの意味でとったらいいのかなあ?
卒業したら 恋愛対象としてセーフになって嬉しい、て意味なのか、せめて卒業までは先生と生徒でいられる、て切ないうたなのか?
沈丁花は春の花だけどどうしてここで、沈丁花?
でも、多分、この歌とっても上手い!わたしの教養がおいつかないだけで。
井筒ふみさん

妄想力をくすぐられる歌です。沈丁花の香と品の良さがミッションスクールを、むせかえるような、には品の良い百合っぽさを感じられて素敵です。主体の気持ちは「先生」でいてほしいのか、「先生」を超えたいのか、思わせぶりですね。WPPさん

上句の沈丁花は作者の募る恋心と読みたいです。先生は男性でも女性でも良いですね。最初は「卒業したら先生と生徒の関係を越えられますか?」という問いかけに思いましたが、「卒業したら他人になってしまうけど、それまでは私の先生ですよね」というようにも取れてどちらもいいなぁと思いました。いっくんママさん

先生と生徒が恋愛関係にあるのか、あるいは生徒側の片思いなのでしょうか。卒業したら恋愛関係を進展させたいと思っているような気持ちと、沈丁花の香りのあやしい感じがよく合っているように思います。ただ「むせかえるような香り」という表現がちょっと月並みな感じがするので、もうすこし何か別な言葉で表されてもおもしろいかなと思いました。
桔梗さん

沈丁花ってとても蠱惑的なイメージがあります。実際に咲いていて香りが漂っているのでも良いし、もしかしたら「先生」の香水の香りから沈丁花を想像して、その花の咲く卒業の季節を考えているのかもしれない。目の前に相手がいるのか、遠くから心の中で呟いているのかによっても捉え方が変わってきます。読み手によって幾通りにも解釈できる作りが巧妙だと感じました。七緒さん

詠みの型、読みの型を読者と共有することについて確たる信頼をもって詠まれた歌だと思いました。一首を整えることに対する誠実な姿勢に好感を持ちます。丁寧に包装された贈答品をすっと差し出されたような、一読者として、受け取る者として、とても気持ちのいい歌でした。中牧正太さん

伴風花さんの歌集の標題となった連作「イチゴフェア」は教師と生徒の淡い恋を描いたもので、その中の「じんちょうげ そう、じんちょうげ 沈丁花 春の雨の日想いだしてね」という歌が、二人の年齢差、叶わない恋を語らずに語っていてとても好きです。
今回の歌はそれと同じシチュエーション、同じモチーフで、どうしても比べてしまって採れませんでした。西村湯呑さん

涙ぐむ同級生に挟まれてきつく丸める卒業証書

9席 32pt 桃×1 黄×11 緑×6 Bonus

那須ジョン金子りさひの夕雅ハナゾウいっくんママ高木一由パコ・ベルデ小川けいとけら仙冬可七緒薄荷。中牧正太小林礼歩桔梗岡桃代静ジャック


涙ぐむ同級生と、主体は同調できないのでしょうか。泣かないように口を結んでいるように思えました。卒業後の進路がそれぞれ違い、思うところもあるのかもしれませんね。感動できないという個性がリアリティを感じさせました。仙冬可さん

卒業式に泣けないでいることの、ある種の疎外感に戸惑う主体を思い浮かべました。泣かないからって何も感じてないわけじゃないことはきつく握りしめた証書からわかります。その不器用さに好感が持てます。WPPさん

「卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう」という斉藤由貴の「卒業」の歌詞がちょっと思い浮かびました。本当はかなしいけれど涙をこらえているのか、かなしいと思っていないのかはわかりませんが、「きつく丸める」というちいさな動作に主体の複雑な感情が表されていてよいですね。桔梗さん

母親の青春のようで処分することのできない卒業証書

10席 30pt 桃×3 黄×5 緑×7 Bonus

うた猫松岡拓司といじまミオナマジコひの夕雅いっくんママ莉奈衣未(みみ)楢原もか仙冬可中牧正太西村曜小林礼歩静ジャック


この卒業証書が作者のものなのか、お母さんのものなのかはちょっとわからなかったんですが、自分では愛着はないけれど、親が大切してるから捨てられない想い出の品ってありますよね。ミオナマジコさん

遺品整理の場面でしょうか。卒業証書の扱いは自分の物でも悩ましいものがあります。それが(もし)故人であるなら尚更。青春時代の思い出ではありますが、子々孫々取っておく物でもないし……悩ましい。わらびさん

皮肉な見方なのですけど、作者の卒業証書だと思って読みました。
子ども自身は何ほどの価値も見出していないが、母は子どもの成長、というか青春の象徴と思ってる。あるいは不本意だった母の青春を子どもがやり直してくれたと感じてる。だから実家に帰るとでーんと取ってあったりする。捨てられない。困ったな。て感じ。
井筒ふみさん

すごく意味は理解しやすい歌なのですが、卒業証書を母親の青春に重ねてしまう心境には少し違和感がありました。
まったく同じ文章で全員に配られる卒業証書って、個人的にはあまり思い入れを持てるものではなかったので…。処分しがたいアイテムであることは確かなのですが、卒業証書は、アルバムや手紙の束なんかとは真逆の存在であるように思います。深影コトハさん

現代だと卒業証書に青春を投影したりはしなさそう(アルバム等の思い出アイテムにはこと欠かなさそう)なので、この母親はうんと年輩の方(おそらく故人)なのかなと想像しました。時代や暮らしの事情から卒業証書だけが若い頃の思い出の品だったとしたら、主体がそれを処分できない気持ち、よくわかります。WPPさん

当然遺しておきたい写真をはじめとする青春を刻み込んだものが他にない(あっても少ない)‥‥からこの歌になったのかなぁ、と勝手に想像を膨らませてしまいました。
歌としての必然を思うと、他の思い出の品たちが消失して何とか残った卒業証書なのでしょう。本人のものである限り手がつけにくい、といった感じでしょうか。自分が生まれたあとの母親のことはいやというほど知っていますが、母親にも若い娘時代があったことを冒涜してはならないなぁという作者の優しさが伝わってきます。ひの夕雅さん

曲解かもしれませんが、高校へ進学する率が高くなかったのかもしれません。家庭の事情で中途退学も考えられます。また、そういう同級生の思い出があり卒業は重みがあったのかもしれません。働きながら定時制高校を卒業したのかもしれませんし、社会に出て子育てが終わってから通信制高校を卒業したのかもしれません。まあ、これは可能性というだけです。
母親は学生時代のことを話していたのかな、と気になりました。話していたのなら親子関係はあたたかいと思いますし、話していないけど大切そうにしていたと察しているのなら、大人だなと思いました。
仙冬可さん

深い愛情と共感を覚えて、いいなあと思いました。衣未(みみ)さん

母自身の卒業証書とも読めるのですが、なんとなく、主体自身の卒業証書だけれど、母が自分の成長にずっと力を傾けてきたことを「母親の青春」として、そんな母の影をそこに感じるから、物理的には紙一枚だけれど気軽に捨てられないということかなと思いました。桔梗さん

私も二番目の方と同じく遺品整理の場面と読みました。
色々と苦労されたお母様なのでしょう。幸せから遠いところで生きてきたから主体はあまり母親の笑顔をみたことがない。
そんな母親が何かの折にふと学生時代の話をした。その時の嬉しそうな顔をみて「母にも青春があったんだ」と主体はハッとする。
遺品整理で卒業証書を手にした時にそんなことを思い出し「…処分できないよね」と手をとめる。
母親と主体との間には、ある程度の屈託があったのかもしれません。
それでも卒業証書一枚分、母親の人生を自分の手元に置いておいてもいいのかなと思い直す主体。その屈折した感じに魅かれました。
色々な親子関係があるので、読み手の数だけ世界が広がるところもいいなぁと思いました。小林礼歩さん

生きてゆく知恵を身につけ雛鳥は卒業試験のように飛び立つ

11席 30pt 桃×3 黄×5 緑×4 Bonus

うた猫ミオナマジコわらび西村湯呑久保 直輝淡海わこ楢原もかCIPHER仙冬可中牧正太岡桃代


雛鳥が飛び立つ様子を卒業試験と表現されたのが秀逸だと思いました。上の句に作者の優しさを感じます。絵も浮かびやすいし、温かいお歌で大好きです。ミオナマジコさん

「卒業」を詠まれたお歌は数多くあったのですが、生徒さんや学生さんではなく雛鳥を主役にするという視点が素敵だなと思いました。
巣立ちは確かに卒業試験なのでしょうね。
無事に合格して立派な親鳥となることを祈ります。わらびさん

ツバメなどが親鳥の元から巣立っていく様子かと思います。景はわかるのですが、「雛鳥」だと(間違いというわけではないけれど)本当にまだ産毛を生やしてぴよぴよ言っているようなところを個人的には想像してしまうので、「幼鳥」くらいの表現がよいかなと思いました。
桔梗さん

雛鳥の巣立ちは、様々な不安を抱えたまま、でも時が来れば必ずするもので、それが「卒業試験」という言葉によくあらわされていると思いました。「生きていく知恵」が、どう力を発揮するか誰にもわからない、その雰囲気も感じました。岡桃代さん

雛鳥の巣立ちは、様々な不安を抱えたまま、でも時が来れば必ずするもので、それが「卒業試験」という言葉によくあらわされていると思いました。「生きていく知恵」が、どう力を発揮するか誰にもわからない、その雰囲気も感じました。岡桃代さん

卒業を自分で決めるさみしさよ振り返るたびまだ揺れている

12席 27pt 桃×2 黄×6 緑×6 Bonus

WPP那須ジョンハナゾウ倉橋千帆高木一由パコ・ベルデ小川けいと遠井海久保 直輝中牧正太西村曜久哲岡桃代静ジャック


何からの卒業なのか、というのが読み取れませんでした。自分で決めるさみしさ、揺れている、という不安定さがこのお歌の魅力だと思うのですが、要となる卒業する(したい)ものを具体的に示してもらった方が共感できました。惰性や依存を想像しましたが、こういう心の揺らぎを切り取って歌にするのは自分にとっても課題です。仙冬可さん

なるほどと思いました。学校の卒業はいつと決まってます。名残惜しくても受入れるしかない。主体の卒業とは何でしょうか。現役の引退、諦める恋、親の子離れ…自分でエンドラインを引く切なさ難しさをフォーカスした大人の歌ですね。WPPさん

「自分で決める」とあるので、この「卒業」は学校等の制度で決められた卒業ではないのでしょう。最初に浮かんだのはアイドルグループのメンバーがよくいうところの「卒業」でしたが、恋愛関係などということもあるのかなと思いました。
桔梗さん

卒、という歌題で、やはり卒業の歌がこれだけ並ぶなかで「卒業を自分で決めるさみしさ」というのに目をつけられたこと、それだけでこのお歌は際立っているとおもいました。「卒業を自分で決めるさみしさよ」むずかしさ、とかではなくて、さみしさなんですね。この卒業は、親や友人、恋人など人からの卒業かもしれないし、仕事や趣味、嗜好品などの物事からの卒業かもしれない。卒業がさみしいというのは言うまでもないことなのですが、それが「自分で決める」卒業のさみしさならば、さみしさの質も違ってきます。だから、もうすこしお歌に「自分で決める」卒業について、あるいは、さみしくてどうしたのかなどの具体的な描写を入れてもらえると、そのふつうのさみしさとは質の違う「自分で決めるさみしさ」により迫れたのに、とおもいます。しかし、何事にも自分で線引きをしていかなくてはならない大人の孤独に焦点をあてているという点で、とてもおもしろいです。西村曜さん

テーマを卒業、と決めた時、大人になって今更何から卒業するのかなぁ、と思い、皆さんの悩んでいる顔が見たいと思いました(笑)
テーマへの向き合い方、勉強になりました。
♡♪評、ありがとうございました
けらさん

声援にまごう何とぞ何とぞの老爺の祈り 春の選抜

13席 26pt 桃×1 黄×8 緑×4 Bonus

金子りさひの夕雅深影コトハいっくんママ小川けいと莉奈楢原もかハリエット薄荷。中牧正太小林礼歩久哲


高校野球でなんと応援のお爺さんへの視点に驚きました。よほど、思い入れのある試合なのでしょうね、「何とぞ何とぞ」の言葉と「春」やわらかく響きあって好きです。「卒」とのつながりがわからなかったのですが、三年生だったのでしょうか。いっくんママさん

どうか、どうか勝たせてほしいと切望する、祈願するおじいさん‥‥これが夏の大会だといくつも勝ち抜いたことが前提となるので「何卒」の重みも半減するところだったと思います。ずっと野球を続けてきたお孫さんを見守ってきたのでしょうか、それとも21世紀枠でご自分の母校が悲願の初出場を遂げて、嘗ての高校球児としての血が騒いだのか。「何卒」に込められた思いの強さと高校野球という絶妙なモチーフのバランスがとてもよくて、美しいなぁと思いました。ひの夕雅さん

他の人の選評を見てようやく、あ、そうか「何卒」なのか!と気づきました。高木一由さん

何卒の卒と、こんなに必死な声援ということは伝統校の卒業生(野球部の先輩)だったりするのかなと思いました。高校野球と老爺という取り合わせもあまり思いつかないもので、とても好きな歌です。小川けいとさん

「春の選抜」は春の選抜高校野球ですね。「老爺」の身内が出場しているのかそれとも彼の出身校なのか、戦っているどちらかのチームの勝利を強く願う理由が何かあるのでしょう。高校野球に老爺という取り合わせはおもしろいですね。一字空けのあとの「春の選抜」が取ってつけたような感じになっているので、自然に歌のなかにとけ込ませる構造の方がよかったかなと思います。またこの場合の選抜は略語なので「センバツ」の表記の方がよいかも。
桔梗さん

あの人と卒業式をすっぽかし青春ほどく風の二丁目

14席 25pt 桃×2 黄×5 緑×3 Bonus

ミオナマジコ金子りさ小泉夜雨パコ・ベルデCIPHER仙冬可七緒中牧正太静ジャック


とても詩的なお歌で意味はよくわからないんだけど、読後感が爽やかで好きです。ミオナマジコさん

「青春ほどく」がすきです
さわやかだなあと思いました小泉夜雨さん

メロディーをつけたいくらい、爽快。
すっぽかし、風のスピード感。ほどいた青春の切れっ端でもいいから欲しい。仙冬可さん

青春の紐をほどいて大人の自分へと颯爽と旅立っていく姿が素敵です。パコ・ベルデさん

これぞ青春、という感じの爽やかさが好ましい。ただ、卒業式をすっぽかして二人だけで旅立ちを祝う相手を「あの人」と言うのが何となく、何となくですけどつれないというかぎこちないかな、と思いました。WPPさん

あの人と一緒に「卒業式」をすっぽかしたのか、「あの人と卒業式」をどちらもすっぽかしたのかがややわかりにくい感じがしました。「あの人」という言葉の距離感が読者にはわかりにくい所為もあると思います。「青春ほどく」も「風の二丁目」もわかるようなわからないような表現ですが、「すっぽかし」の語感も相俟ってなんとなくさわやかな印象を作り上げているように思いました。桔梗さん

前の評の方と同じ意見になってしまいますが、「あの人と」いっしょになって「卒業式をすっぽかし」たのか、「あの人と卒業式を」(わたしだけが)「すっぽかし」たのかが、わかりません。雰囲気だけで前者かなあと判断しましたが……。「青春ほどく」も、スカーフかなにかをほどくさまを「青春ほどく」といっているのかなあ、とこちらも雰囲気だけで読み取りました(なので違っているかもしれません、すみません)さいごの「風の二丁目」というのも、「ほどく」ときて「風」なのでなんだかさわやかなイメージですが、単独の「二丁目」という単語で想起できる場所は、新宿の二丁目しかありませんでした。でもたぶん、新宿の二丁目に行った歌ではないとはおもいます……。歌に地名(?)を入れるのはむずかしいですよね……。歌として(わたしが勝手に読み取ったイメージなので違うかともおもいますが)すきな人、おもいびとと式をすっぽかして、街の二丁目あたりまで来て、ふとスカーフをほどいた、というようなドラマチックな場面はたいへん魅力的です。その魅力的な雰囲気は伝わってきます。西村曜さん

桜色した弾丸で撃ち抜いて 君が構える卒業証書

15席 25pt 桃×0 黄×10 緑×6 Bonus

さはらやせしん金子りさひの夕雅ハナゾウいっくんママ小泉夜雨高木一由なぎさらさ莉奈久保 直輝衣未(みみ)淡海わこ楢原もか中牧正太静ジャック


好きな男子が友達と卒業証書でふざけているのかな。いっそのこと打ち抜いてほしい、初々しい恋心がさわやかな歌と思います。いっくんママさん

POPなノリ(?)が軽さにも感じられて採らなかったのですが、若々しさが溢れてます。ちょっと羨ましい。WPPさん

卒業証書を入れる筒を勢いよく抜いた時のポンッ!という音がピストルのように聞こえることを使った歌でしょう。ただ実際に弾が飛び出すわけではなく、弾丸は「桜色」なので敵意というよりは、主体のことを好きになって欲しいという事かなと読みました(というか、なんだかもうハートは撃ち抜かれてる感じですが)。桔梗さん

「撃ち抜いて」が願望なのか、事実なのかが少し分かりにくい、と感じました。卒業証書を丸めて銃に見立てる、というのはいかにも小学生くらいの男子がやりそうな遊びで、恋の歌の素材としては少し子どもっぽいかな、と思います。森下裕隆さん

校長の声がゆっくり遠のいて視線の先に青空が射す

16席 24pt 桃×1 黄×7 緑×6 Bonus

那須ジョンひの夕雅深影コトハ小泉夜雨高木一由なぎさらさ仙冬可ハリエット薄荷。中牧正太小林礼歩桔梗久哲


卒倒、ですね。経験はないのにまるで実体験のように光景が浮かぶ歌です。下句の爽やかさのギャップ感もおもしろい。青空が見えていると言うことは運動会の開会式か、はたまた屋外タイプの全校集会なのか……。七緒さん

花題『卒』で卒業の歌が並ぶなか、卒倒の瞬間を切り取った発想力とその情景描写がよかったです高木一由さん

グラウンドでの朝礼か集会時に貧血で倒れるところなのでしょう。貧血で倒れるときには、経験上では(人によって違うと思いますが)だんだん視界が黒く塗りつぶされてゆくような感じかなと思うのですが、ただ青空があるのではなく「青空が射す」というところが面白いと思いました。桔梗さん

卒倒したことがないのですが、倒れるときってこんな感じなのかと新鮮でした。校長先生のありがたーい?お話も聞こえず美しい青空が広がっているのですね!いっくんママさん

卒塔婆の新木の香も抱きつつ子らは血筋のはなし聞きおり

17席 23pt 桃×0 黄×9 緑×7 Bonus

さはらや那須ジョンひの夕雅深影コトハ高木一由井筒ふみ莉奈衣未(みみ)仙冬可薄荷。中牧正太小林礼歩桔梗森下裕隆静ジャック


卒塔婆っていつ作るのか分からないんですけど、新木だから亡くなって間もないんですよね。だから哀しみも新しい。哀しみと新木の香の両方を抱きつつ、子=若い世代は亡くなった方の血筋というか生い立ちを年長者から聴いている。世代間の哀しみの質の違いもうかがえる歌だと思いました。井筒ふみさん

下の句から、何ヵ年かの法要の様子ではないかと拝察しました。私の地元では卒塔婆をやり取りする文化があまりないのですが、法事の度にお参りのしるしとして立てるというのを聞き齧ったことがあります。血筋の話というのも穏やかでどちらかというと「思い出」を語るに近い印象を受けます。
こどもたちは卒塔婆に刻まれる梵字の意味や戒名(法名)のことを次々に質問したりするのでしょうね。それを一族の年長者やお寺様が丁寧に説法している情景が浮かびました。新しい木の香りというエッセンスも空気が幾分温んだ季節を想わせ、非常に穏やかで静か、且つ暖かい印象のお歌だと思いました。ひの夕雅さん

この歌にノスタルジーを感じるほど、現代人(私だけか?)はご先祖様やお墓に関心を持ってないのだなぁ、と改めて思わされました。子供の頃、意味もよくわからないまま繰り返し聞かされることが知らぬ間にしみ込んでたりする感じ、語り継ぐことの大切さ、を思いました。WPPさん

どういうタイミングで卒塔婆を新調するのかよくわからないのですが、亡くなられた方の納骨時か、あるいは時期的にお彼岸のお参りかでお寺に行ったときのことなのでしょうか。いまのお家には仏壇もなくて、自分がどういう先祖を持っているとか、何をしていた人だったとか考える機会も少ないのだと思うのですが、お墓に刻まれた名前を見ながらなんとなくそんな話をしているという場面は微笑ましい感じです。ただ、「香も」の「も」が気になりました。
桔梗さん

お歌の様子で、特定の故人の話というよりご先祖様の話と感じたので、四十九日までの法要ではなく、それ以降の法事を思い描きました。お盆やお彼岸に卒塔婆を備えることもあるようですね。地域性や時代によって様々です。お墓参りのときは花や水桶や線香など荷物が多く、家族がそれぞれ担当して、子供が卒塔婆を持っているのだと思いました。あんまり小さい子なら振り回しそうな形ですね。それを諌めているのかな、とも思いました。
お墓参りの時に、先祖の話を受け継ぐというのは宗派を越えてとても自然な素朴な信仰の形だと思います。じんわりした味わいのお歌ですね。仙冬可さん

この歌では、「卒塔婆」は「そとうば(またはストゥーバ)」、「香」は「か」とお読みすればいいのでしょうか。いずれも複数の読み方がある字であるため、最初なかなか定型に当てはまらずに戸惑ってしまいました。
また、「香も」の「も」にも引っ掛かってしまいました。他に何を抱いているのだろう…骨壷…?(違うか
歌のテーマはすごく良いなあと思います。思っただけに、細かい表記に引っ掛かってすんなり入り込めなかったのがとても残念です。深影コトハさん

最後まで馴染めなかった教室の無数のキズが輝く さらば

18席 23pt 桃×0 黄×9 緑×6 Bonus

うた猫さはらやせしんえんどうけいこWPP金子りさ小泉夜雨パコ・ベルデ知己凛なぎさらさ井筒ふみ莉奈遠井海中牧正太森下裕隆


学級に馴染めなかった主体の学生生活。しかし卒業に際して無数のキズを眩しく思うということは、必ずしも辛かったり寂しかったりしただけのものではなかったのでしょうか。そう思いたい。一字あけの「さらば」が感慨深さを伝えてきて上手だなと思いました。WPPさん

「机」などひとつのものにフォーカスされているとリアリティがあってとてもよいと思ったのですが、教室に無数のキズというのがひっかかってしまいました高木一由さん

「馴染めなかった」なので、直接的にいじめられたというほどではないもののどこか疎外感を感じながらの学生生活だったのでしょう。「キズ」は使いまわされる机などの備品の傷であると共に、自分が負った精神的な傷でもあるのでしょうか。そんな事柄も振り返ってみれば輝いているように感じられるということなのかと思います。ただ「無数の」といってしまうことによって、逆にぼんやりとしてしまう気がするように思いました。桔梗さん

かいじゅうはそつぎょうしたの、とたっくんの微笑み 叔父さん少しかなしい

19席 22pt 桃×1 黄×6 緑×6 Bonus

さはらや松岡拓司寿々多実果せしんえんどうけいこWPPいっくんママ小泉夜雨莉奈楢原もかCIPHER仙冬可七緒


平仮名の台詞と句読点と1字あけとルビとなると
リズムが崩れて読みにくいなって思いました
かわいい歌なのですとん読めた方が伝わるように思います
ハナゾウさん

甥っ子さんと怪獣(ウルトラマン?)の話で友達のように盛り上がっていたんでしょうね。でもいつの間にか甥っ子さんは怪獣への興味が薄れてしまった。子供の成長はうれしいけれどもう前みたいに盛り上がらないのかぁ、というのが「少しかなしい」所以ですね。遊び心のある素敵な叔父さんですね。いっくんママさん

叔父さんが怪獣役(専任)だったのかと思いました。拓くんにお願いされたら「もー、しょうがないないなあ」って言いながら嬉しそうだったんじゃないかと。だんだん、やられっぷりも上手くなってきてね。そろそろ体力つけるためにジム通おうかなあ、そこで彼女出来ちゃったりしてなあ……
そこに卒業宣言。「あ、そうなんだー」と軽く流しつつ、少しかなしい。ひらがななので、叔父さんの童心と哀しいというニュアンスを感じました。
子供のツボって大人がはまった頃には次にいってるんですよね。
……がんばれ叔父さん!仙冬可さん

おじさんの正直な心情を描いたとても可愛い歌なのですが、ひらがな・読点・一字空けと続くとがどうしても過剰かなと。もう少し読み手に空間を残していただければと思いました。小川けいとさん

「(好きだったおもちゃを)卒業した」という言葉は、幼児自身からはなかなか出てこないと思うので、親が誰かに「うちの子、最近怪獣を卒業したのよ」などと説明しているのを聞いてマネしたのかな?と想像しました。
漢字で書く「微笑み」が、少し幼い子どもの印象とかけ離れてしまい、違和感がありました。深影コトハさん

まだ小さな甥っ子を可愛がっている叔父さんなのでしょう。前に会った時の拓くんはかいじゅうが大好きだったことが主体にとっては嬉しかったのかもしれません(主体も怪獣好き等の理由で)。拓くんを仲間だと思っていたから成長を喜ぶよりは「少しかなしい」というという言葉が出てきたのかなと思うのですが、ちょっと率直すぎるように思いました。
桔梗さん

時々しか会わない甥っ子との距離感がうまく出ているなぁと思いました。例えば半年ぶりに会ったのなら甥っ子は半年分成長しているのだけど、叔父さんとしてはその半年分の成長が更新されていない。
小さいうちはその更新されない部分も気にならなかったけど幼稚園、小学校と上がっていくうちに会えなかった時間というのは決然として存在し、叔父さんとしてはたじろいでしまう。
とても共感できる歌なのですが結句で「かなしい」と言ってしまっているのがもったいないなと思いました。小林礼歩さん

「なに食べる?」卒業祝いと笑む母になんでもいいとは言わない努力

20席 21pt 桃×0 黄×8 緑×8 Bonus

うた猫寿々多実果わらび金子りさ倉橋千帆高木一由知己凛小川けいと衣未(みみ)楢原もかCIPHER七緒中牧正太久哲森下裕隆静ジャック


最近は、卒業とか成人とか結婚のセレモニーで親への感謝を伝えなければならないというような風潮があるように感じるのですが、感謝って強制されていうものではないですよね。確かに親は子の成長のために心血を注ぎますが、それは親としては普通のこと。子ども側はただ素直に自分を誉めて喜んでほしい。主体は親を思いやれる優しい子ですね。食べたいものを答えてあげてください。寿々多実果さん

いかんともし難い母子の距離感が悲しくも主体の成長をうかがわせます。母からするとつれない内心ですがそれを表に出さないようにする主体は優しい人です。WPPさん

なんでもいいよと言いたいところを、努力して言わないという主体はほんとうに優しい子だなぁと思います。
でも、「なんでもいい」って言っても、きっとこのお母さんは「しょうがないなぁ」といいながら、主体の好物を出してくれそうな気がします。知己凛さん

卒業祝いだからとお母さんが(おそらくいつも以上に)何が食べたいかと笑いながら訊いてくるけど…という景としてはわかるのですが、上の言葉の圧縮の仕方に違和感を感じてしまいました(特に「卒業祝いと笑む母」)。説明しすぎともいえますが、もうすこしどこかを差し引いても状況がわかるような推敲ができるように思いました。
桔梗さん

もうここで会うことのない日々たちに手を振るように舞い散る桜

21席 21pt 桃×0 黄×8 緑×4 Bonus

さはらや寿々多実果えんどうけいこわらび金子りさきつね井筒ふみ西村湯呑遠井海淡海わこ薄荷。中牧正太


手を振りたい主体はだれなんだろう?
日々たち、という言葉のチョイスは三年間?という時間そのものを表していてとってもすきなんですけど、舞い散る桜という結句が美しすぎてなんだか馴染めない。ごめんなさい。井筒ふみさん

具体があまり描かれていないので今ひとつ共感に足りないものの、日々たち、手を振る、舞い散る桜、と追憶のセンチメンタリティが散りばめられた美しい歌と思います。WPPさん

卒業式の当日、桜の散る様子がそれまでの学校生活を見送っている風に思えたのでしょうか。「日々」ですでに複数形だと思うのですが、さらに「たち」で擬人法かつ複数形になっているのが気になりました。桔梗さん

袖丈が足りなくなった学ランの胸に真っ赤な造花輝く

22席 17pt 桃×0 黄×6 緑×9 Bonus

さはらやミオナマジコWPPわらび金子りさ深影コトハいっくんママ小泉夜雨倉橋千帆井筒ふみ莉奈遠井海CIPHER須磨蛍静ジャック


入学するときは大きめの制服を買っていたのが、卒業のときには袖丈が足りなくなっていたのですね。男子は急激に背が伸びますからね。真っ赤な造花のおかげで、卒業の二文字がなくても卒業式とわかるのがいいですね。ミオナマジコさん

学ランを着ている子の成長した姿をうまく表現されていると思います。
ただ、袖丈って足りなくなったっていうのかな。そこがちょっとひっかかりました。知己凛さん

卒業式に出席しているのでしょうか。三年間着ていた学ランで、最初はおおきめだったかもしれませんが卒業のいまはもう袖丈が足りないくらいになっているのでしょう。「真っ赤な造花輝く」は実際に造花(卒業生がつけている)が輝いているわけではなくて、どこかその成長を誇らしく感じている親目線で詠まれたものなのかなと感じました。
桔梗さん

「造花」という永遠に変化しない存在が、袖丈が足りなくなるほど3年間で成長した子どもの卒業の日を飾る、というところに面白みを感じました。深影コトハさん

成し遂げてないことばかり走馬灯 蛍の光はうまくうたえない

23席 13pt 桃×0 黄×4 緑×4 Bonus

さはらやきつね小泉夜雨莉奈けら中牧正太久哲森下裕隆


走馬灯、ということは死の直前なのでしょうか。蛍の光はお別れの時によく歌われるうたですよね。悔いばかり残っている最期というのは悲しいものですね。最後の8音が少し気になりますが、いいうただと思います。うた猫さん

走馬灯から死を連想したので、はじめは死の間際の話かと思ったのですが、これは卒業式の合唱の真っ最中で「あれもできなかった、これもできなかった。やり直したい。こんなんで卒業していいのだろうか」とぐるぐる考えていて、うまく歌えなくなっちゃったのだと思いました。
でも死の間際の読み方でもおもしろく読めます。特に上の句、もう少し整理できるかなとも思いました。きつねさん

「成し遂げてないことばかり」という事なので、主体としてはその学校で何か成し遂げようという大望を抱いていたのに、それが果たせないまま卒業するのでしょうか。小中学校生ではちょっとそんな風には思わないように思うので、少なくとも高校生くらいの卒業式(大学で「蛍の光」って歌わなそうですが)のような印象です。「走馬灯」は、死の直前の走馬灯のようにそれまでのいろんな記憶が駆け巡るという風に使われる言葉であって、成し遂げたことが浮かぶのならまだしも、成し遂げていないことがどうやって巡るのかはちょっと謎なのですが、脳裏から離れない的な意味に取りました。また、「走馬灯」は常套句なので、なにか別の言葉で表現された方がよかったかなと思います。桔梗さん

卒業式に色んなことを回想している場面ですね。でもどこか、何かがちぐはぐな感じを受けます。他評での指摘の通り、走馬灯が良くないのかも。それはそれとして、卒業に際して後悔ばかりが胸を占めている主体は真面目な人と思います。何も成し遂げずにいて後悔すらしなかった当時の自分が恥ずかしい。しかし中高生にはそういう“怖いもの知らず”的な部分少なからずあるんじゃないかなぁ。と思うと、歳相応の青さみたいなものが薄いのだろう主体が「蛍の光」をうまく歌えないのも道理だよなぁ、と思いました。WPPさん

月並みな言葉ですけどありがとう微笑むようにメジロ飛び立つ

24席 12pt 桃×1 黄×1 緑×1 Bonus

莉奈仙冬可岡桃代


情景が上手く描けなかったのですが、上の句がきれいです。真心から出た言葉はシンプルで美しい、そう思いました。WPPさん

お歌全体があたたかいなと思いました。メジロは人懐っこく、庭先にもいます。春の陽気のなか見かけると嬉しくなります。上の句の素直さとメジロというチョイスが効いているなと思いました。仙冬可さん

よくみかんなどを庭に仕掛けておいてメジロを呼び込む、という話をきくのですが、そういうシチュエーションでしょうか。
本来餌をもらっているのはメジロの方なので、主体に対してメジロが「ありがとう」と「微笑むように」(メジロの表情が読めるヒト?)、なのかとも思ったのですが、さすがに「月並みな言葉ですけど」とはメジロは思わないかなと思うので、「月並みな言葉ですけどありがとう」というのは主体のメジロに対する気持ちなのでしょう(楽しませてもらったから?)。それに対して、メジロは「微笑むように」「飛び立」ったわけですが、「月並みな言葉ですけど」とわざわざ言い置いているので、主体の気持ちとしては「ありがとう」というそれ以上の気持ちをメジロに対して抱いていたのかもしれませんね。
「ありがとう微笑むように」を続けて読んでしまいそうになるのが(二語の親和性が高いからかもしれませんが)感じがするのがちょっとどうかなと思うのと、お題が「卒」なので、もう二度とそのメジロは来ないの?というあたりでちょっと引っかかりました。
桔梗さん

教員席で『YELL』を歌う見えるのは十年前のわたしの顔だ

25席 9pt 桃×0 黄×2 緑×6 Bonus

寿々多実果金子りさいっくんママ倉橋千帆知己凛衣未(みみ)中牧正太静ジャック


十年前の自分に大丈夫がんばれとエールを送っているのでしょうか。同時に教え子たちのこれからの十年について祈りのような気持ちもあるのでしょう。私は子どもが自分の母校を卒業し、保護者席から子の成長と過去の自分の姿を重ねて見ながら号泣しました。寿々多実果さん

主体は教員になって、母校に帰ってきたのでしょう。いいたいことは伝わってくるのですが、「歌う」「見える」と動詞が重なっているので、誰が歌ってどこを見ているのか、若干視点がぶれているように感じました。知己凛さん

いまの時代は『蛍の光』などの代わりに『YELL』(いきものがかり)を歌うのでしょうか。今では学校の先生として卒業式に出席している主体が、卒業する子供達を見ながら「十年前のわたしの顔だ」という感慨に浸っているのかなと読みました。あるいは自分の卒業式も思い出しているのかもしれません。
二句三句で「歌う見えるのは」と動詞が続いているのが気になりました。語順を整理されるか、せめて一字あけにされた方がよかったかなと思います。
桔梗さん

今は先生の世代が、僕の知らない卒業ソングを歌うのか!と言うインパクトはあります。しかし、それは意図してはいないでしょう。他氏もご指摘の「歌う見える」の整理と歌の選択かな。蛍の光でいいのでは。久哲さん

ふたりだけ流さなかった白線に繋がっている風の糸口

26席 9pt 桃×0 黄×2 緑×4 Bonus

さはらやなぎさらさ莉奈久保 直輝中牧正太須磨蛍


白線流しの歌ですね。みんなが流すなかで、二人は流さなかった。伝統行事に参加しないというのは勇気のいることだと思います。二人の学生生活を象徴しているように思えました。流されない二人のこれからに繋がっている風は厳しい風かもしれませんが、凛とした巣立ちだと感じました。仙冬可さん

白線流しは、その昔(21年前!)ドラマに登場した、岐阜のある高校で行われている川にスカーフや学帽の白線を流すという卒業の行事ですね。ドラマは観ていなかったのでその内容に則した歌なのかオリジナルなのかがわからないのですが、「風の糸口」というところから、その「ふたり」は白線を川に流さずに風に漂わせているような感じなのかなと読みました。「ふたりだけ流さなかった白線」なので、ふたりは流してないけれどそれ以外の卒業生たちが流した白線、という感じにも読めますが。いずれにしても、他の同級生たちとは同調しないふたりだけの世界みたいなものを感じました。
桔梗さん

仙冬可様、桔梗様 評ありがとうございます^^
票いただいた方、お読みいただいた方ありがとうございます。まあ、自分では綺麗に詠んだつもりですが、結局のところ『嘘』どまりで読ませる嘘にはなっていないですね。反省と見えたところの多い歌でした。次は狙うぞ^^ うたの人(笑)久哲さん

ゆくりなく生きるわたしをありがとう

耐震校舎

卒業します

27席 7pt 桃×0 黄×1 緑×5 Bonus

えんどうけいこ金子りさ莉奈衣未(みみ)けら七緒


分かち書きから卒業式の「呼びかけ」を連想しました。でも卒業するのは耐震校舎でいいのかな??きつねさん

よく読み切れていなかったのですが、前評を読んでなるほどと思いました。あるいは寄せ書きの中の言葉を拾い出した歌なのかもしれませんね。読むほどに良いなと思います。分かち書きというのはこんな風に広がりを持たせられるのですね、勉強になりました。WPPさん

卒業式の答辞みたいな感じでしょうか。普通は先生をはじめとするお世話になった人たちに対して言うものだと思うのですが、この主体は文字通り自分を守ってくれた耐震校舎に対しての感謝を述べているのかなと読みました。その設定はユニークなのですが「耐震校舎」という言葉の入り方が歌として考えたときに浮いて見えてしまうので(それを狙われたのかもしれませんが)、ちょっとうーん;と思ってしまいました。桔梗さん

分かち書きのかたち、面白い試みだと思いました。わたしも、試してみたくなりました。ハリエットさん

分かち書き、ゆったりと読むことができて素敵だなあと思いました。「ありがとう」以外にも、言葉にしがたい深い思いが行間にあるようです。えんどうけいこさん

卒論のテーマは『愛の卒業』できみのことだけ思い出しつつ

28席 7pt 桃×0 黄×1 緑×2 Bonus

いっくんママハリエット中牧正太


ロマンティックな響きの歌なのですが、『愛の卒業』をテーマにする専攻科(ゼミ)が何なのかが気になり(笑)、あれもしかしてこれコメディなの?とか思ってしまって集中できませんでした(詠者は悪くないです)。
さておき、主体が思い出しているきみは、過去のきみなのでしょうね。いつまでも忘れることの出来ない恋を、人を、思い続ける切なさが『愛の卒業』という言葉に込められていて切ないです。WPPさん

愛の卒業、と言うストレートすぎる卒論テーマ。えええ、と思ってしまいました。衣未(みみ)さん

私も愛の卒業というのはなんの分野かと気になりました。心理学か保育でしょうか。卒論を書く間、愛についての文献をあたるのはしんどそうです。テーマを決めるときは、二人の関係は良好だったのかもしれませんね。愛を卒業、の方が歌意に合っているでしょうか、そういう解釈で読みました。仙冬可さん

卒論は現実のものではなく、比喩と取りました。
大学生活が終わりに近づき、卒業すると離れてしまう「きみ」への想いをどう整理するのか思い悩んでいる印象です。
タイトルの『愛の卒業』が直球すぎて共感しづらい気がします。倉橋千帆さん

愛といってもかならずしも恋愛のこととも限らないと思うので、卒論のテーマの方の「愛」はそちら方面とも考えられますが(比喩でなく、大学に提出する卒論なのだとしたら)、それを書き上げようとしている主体が思い出しているのは恋愛感情を抱いている「きみ」のことなのでしょう。もう終わってしまった思いなのかもしれませんが。「で」という助詞が上の句を説明っぽくしているように思うので、もうすこし推敲ができるかなと思いました。
桔梗さん

曇天の朝よお願い泣かないで卒業式は笑ってたいの

28席 7pt 桃×0 黄×1 緑×2 Bonus

寿々多実果知己凛CIPHER


雨が降りそうな空を詠んでいますが、実は泣き出しそうなのは主体なのだろうな、と思いました。笑って卒業できます(ました)ように。WPPさん

卒業式に雨が降らないで欲しいということなのでしょう。自分もつられて泣きそうだから…といったところでしょうか。他が「い」抜きだったりして甘めな口語なだけに、初句は「曇天」というかたい漢語ではなく、もうすこし口語によせた方がよいように思いました。
桔梗さん

とても素直な歌だと思いました。泣き出しそうな自分を重ねた空は、実は主体が思うほど曇っていなかったかもしれません。なぎさらささん

卒業シーズンの不安定な気候に自分の心を重ね、それをストレートに詠んだ素直なお歌だと思います。ほかの方も書かれていますが、曇天が少しかたい印象だなと感じました。倖さん

胎盤を卒業したら進むんだ愛の鎧を身につけて、いざ

30席 7pt 桃×0 黄×1 緑×1 Bonus

淡海わこ静ジャック


わたしの理解力と想像力が足りないのかもしれませんが、「胎盤を卒業」とは何のことかよくわからず、「愛の鎧」も漠然としていて意味のとりにくい歌でした。いずれもおそらく暗喩ではないかと思いますが、上の句か下の句はもう少し通じやすい表現の方が良かったのではないかと思います。えんどうけいこさん

胎盤を卒業というのは、外界に出て肺呼吸を始める、我々人間にとっては「誕生」の瞬間です。私はこれを「独立」と表現するのが好きなのですが「胎盤からの卒業」というのが新鮮で面白くインパクトがありました。主体が赤ちゃんですから、愛の鎧という親主観ではなくこどもならではの何か別の装備が表現に入っていたら、更に世界が広がったかもしれません。ひの夕雅さん

出産の瞬間を切り取った歌と読みました。胎盤を離れ、愛の鎖=へその緒を身につけて産道をとおる。面白い視点だなと思います。知己凛さん

産道を通過している場面と読みました。装備を胎盤から愛へとチェンジして、さあこれから頭が出るぞという勢いがあります。
胎児の視点というのは面白く、「胎盤を卒業」「進む」「いざ」の流れに臨場感が溢れていて、誕生に向かう生命力を感じました。
ただ、「愛の鎧」だけが歌の雰囲気に合わない印象です。鎧は防具なので成長するまでは大人の愛で守られなければ生きていけないという意味に取りましたが、他の表現が独創的なのに対し、愛という表現は安易な気がします。倉橋千帆さん

この「胎盤」が実際の胎盤なのか、学校の比喩として使われているのかはわからないのですが、胎盤は子宮の中にある胎児と母体を連絡するための器官で、子宮から卒業というのならまだしも胎盤からの卒業というところでちょっと悩んでしまいました。生まれてくる赤ちゃんに向けてのエールなのだとしたら、 「愛の鎧」はご両親や周囲の人たちの愛情のことを示しているのかなと思うのですが、前述の「胎盤の卒業」と「鎧」という比喩が一首のなかにごちゃごちゃとしている印象です。
桔梗さん

もう若くないんですよと諭されて真顔でふける卒コンの夜

31席 5pt 桃×0 黄×0 緑×5 Bonus

せしん小泉夜雨高木一由中牧正太森下裕隆


大学の卒業で教授は本当に若くないから講師あたりかな?と思い浮かべました。ユーモラスな雰囲気ですが、下の句に情報を詰め込みすぎだと感じました。限定要素を入れれば共感が散るのは仕方ないと思うので、濃くするか薄くするかは好みだと思います。卒コンと限定しなければ同窓会の恩師との会話とも思えます。仙冬可さん

「卒コン」が、「卒業コンパ」とも「卒業コンサート」(アイドルグループの)の意味とも取れ、そこで悩んでしまいました。
前者だとしたら、大学を卒業したくらいなら社会的には若いと言われる年齢だけど、もっと若い人たちと比べたら確かに若くはなくなんとなく真顔になってしまう、という雰囲気なのかなと思いますし(誰が諭すのかという感じはしますが)、後者だとしたらいつまでもアイドルの追っかけをしている相応の年齢のヒトが誰か(身内かコンサート仲間か)に諭されるいるという感じにも読める感じです。個人的には後者の方で読んだのですが、いずれにしても「卒コン」は正式名称で書かれた方がよいかなと思いました。
桔梗さん

「卒コン」が色々な意味にとれるので、景色がぼんやりしてしまいます。卒業コンパかなとも思ったのですが、誰に諭されているんだろう。薄荷。さん

卒コン 追いコン 老いコン の意味でした。
評 緑の葉っぱ ありがとうございました<(_ _)>井筒ふみさん

以上31


投票した人

うた猫 さはらや 松岡拓司 寿々多実果 せしん えんどうけいこ といじま ミオナマジコ WPP わらび 那須ジョン 金子りさ ひの夕雅 きつね ハナゾウ 深影コトハ いっくんママ 小泉夜雨 倉橋千帆 高木一由 パコ・ベルデ 知己凛 なぎさらさ 井筒ふみ 西村湯呑 小川けいと 莉奈 遠井海 久保 直輝 衣未(みみ) 淡海わこ 楢原もか CIPHER けら 仙冬可 ハリエット 七緒 薄荷。 中牧正太 西村曜 小林礼歩 桔梗 久哲 森下裕隆 岡桃代 須磨蛍 静ジャック

≪ 31代目うたの人33代目 ≫

うたの日